(52)馬券の買い方

競馬予想ソフトを作っていて何が得になるかと言えば、数多くのレース結果を分析して競馬の本質に迫れる事だろう。
年間で重賞レースは2008年度は131レースがあったが、この程度のレース数でも細かく分析するのは大変な作業になる。
今年の6月に発表した「エクセル競馬予想 馬ちゃん」は、この重賞レースの過去のレースを調べて的中率と回収率のバランスの良さそうな競馬予想にしている。
年度別の重賞レース結果の傾向を言うと、2004年度は堅く決まるレースが多くて良く的中するのだが、なかなか儲からない年であったし、2005年度はなぜか大穴は的中出来るようなのだが、通常のレースの的中は難しい年であったし、2006年度はとんとんを維持できれば上々の年であった。
2007年度も当たり外れの傾向の上下が多くて、収支をプラスにするのはなかなか困難な年であった。

2008年度は残りは数レースになったが、今年は例年になく堅い馬券も大穴馬券も的中し易い年ではなかっただろうか。
競馬予想ソフトを作成して居られる方なら、傾向は肌で感じる事が出来るのだが、そうでは無い方でもオッズ買いで例えば単勝1番人気から数点流して年間どの程度的中出来たかを調べれば、傾向は掴む事が出来る。
その意味では、今年のレース結果は堅く決まる場合と大荒れがはっきりしていて、レースデータを分析するには良い年であったように思える。

馬券を年間コンスタントに買い続けた場合にどの程度の収支結果になるのかは、既に統計的には判っており投資した金額の70%〜75%程度を回収するのが精一杯のようである。
月に3万円を競馬につぎ込んで年間36万を使った結果、ほとんどの人の回収金額は25〜27万程度になっている筈である。
平均的なサラリーマンは、月に競馬につぎ込めるのは1〜2万だろうから、20万程度投資して14万程度が戻ってくるだけである。
6万円を損した事になるのだが、娯楽費だと思えば月に5000円の出費なので、我慢できる範囲になるのではないかと思う。
私の競馬予想ソフトも、このような月に2〜3万で重賞レース程度を買って競馬を楽しんでいる方の参考になる予想をさせる事を最大の目標にしている。

問題は、競馬にどっぷりと嵌りこんで1日に6,7レースをしないと競馬をやった気がしない私のような人達である。
多くのレースに参加しても、的中率は一定だろうから同じ事だろうと考えがちであるが、結果は多くのレースに参加すればする程、損をする金額が膨らんでくる。
競馬に精通すればする程、的中率は向上してくるのであるが、的中率が上がる割には回収率はどんどん落ちてしまうのである。
理屈上はJRAの控除率が高すぎる事が原因なのだろうが、競馬が極端に衰退でもしない限り、控除率が下がる事は無いだろうと思う。

そこまで競馬が好きな人は、大穴を的中する事も多いので、年間では収支がプラスになる事も多いだろうが、多くのレースに参加すると購入金額も多くなるので、10年〜20年のスパンで見ると損をしている場合が多い。
仮に10万馬券を的中出来たとしても、10年のスパンで見た場合には必ずしもプラスになっているとは限らない。
基本的には、競馬は決して万人が儲かるものでは無いし、競馬で1億儲けたと言う人も中には居るのかも知れないが、宝くじの1億円が的中する程度の割合だろうと思う。
競馬の神様と言われた故大川慶次郎でも、75%の回収率しか得られなかったような事を本人が言っていたようである。
もっとも、この方はほぼ全レースに参加しての数字であるから、やはり驚異的な方であったのは間違いが無い事なのであるが。

それらを踏まえた上で、自分が模索し続けている馬券の買い方を述べてみようと思う。
私自身、競馬で儲かってはいないので、このような馬券の買い方が良いとは言えないのだが、馬券の買い方の参考例程度にはなるかも知れない。
参考になる馬券の買い方の例として数例を挙げてみようと思う。

(1)単勝、複勝をメインにして買う。
競馬のプロとか競馬関係者(馬主等)の買い方で、5000円〜100万程度を購入するようである。
最低でも1票に5000円以上を購入しないととても儲かったと言える金額にはならないのが難点である。

(2)ワイドの多点買いをする。
ワイドの多点買いを薦めているサイトもあった。
怪しげな競馬予想の解説本を売るサイトなので信憑性は薄いのだが、ワイド馬券を10〜20点買いをすると儲けは少ないのだが必ずと言って良い程的中できるので儲かると言うのである。
仮に120円の配当でも複利的に運用する事で1〜2年後には驚く程の金額になるとの事だった。
確かに的中率は抜群だろうが、余りにもかったるい方法なので私は試した事は無い。

(3)3連複の多点買いをする。
(2)の方法と似ているのであるが、ワイドは配当が低いのでそれを配当の良い3連複に置き換えたものである。
その代わり購入点数は30〜40点程度を購入すると言うものである。
購入点数が多くなるので、外れた場合のダメージは大きい。
馬連でもなかなか的中しない私としては、勇気の居る買い方である。

(4)3連単の多点買いをする。
配当の良い3連単を多点買いをして的中させようというものである。
当然購入数は常時120〜160点程度を購入する事になる。
(3)の方法よりも更にリスクが高い買い方で、相当に競馬資金の豊かな人でないと継続して買う事は出来ない。

私自身は、3連複の多点買いに近い事は実践してみた事があるが、高配当が的中すると良いのだが、そんなレースはなかなか当たらないし、1000円前後の配当では参加しただけの結果になる事が多いようである。
兎に角、競馬は複利的な運用で連続して的中出来ないと儲からないと言う事だけは確かだと思う。
但し、連続して的中させる事がどれだけ難しいものであるかは、誰しも経験している事だろう。

頭で物事を考えても、馬鹿な政府官僚が行う施策と同じで旨くいかない場合がほとんどである。
最近では、景気対策と称してお金のばらまきを始めようとしたが、これも愚策の典型的なものであろう。
どうやら愚策に気がついたらしく、金持ちは受け取りを辞退して欲しいだの、年末は大変な業務になるので施行は自治体に任せるような修正案を出す有様であるが、元々が愚策なので修正案も当然愚策の上塗りとなる。
実際の世の中は、官僚が生半可な知識で考えて解決出来るほど甘いものでは無いのである。(金のばらまきはそれ以前のレベルだが。)

政治家や官僚らのやる事を嘆いてもどうにもなる事ではないので、話を戻したいと思うが、実際に競馬予想を売っているサイトが公表している予想結果で、どんなレースをどのような買い方をしたら儲かるようになったのか例を挙げてみようと思う。
このデータは私が書いた競馬予想のプロの収支結果から抜粋したものである。

この予想を販売しているサイトの重賞競走の予想結果を調べただけであるが、2007年度は大幅赤字だったのが、2008年度はとんとん程度は維持できるようである。
2008年度はどこをどのように修正したのか、どのような買い方に変更したのかを参考までに記載してみようと思う。

まず今年度の途中からであるが、大きく変更したのは購入金額である。
以前は、軸馬から馬連5点で1点100円、ワイドで同じく5点で1点200円の購入で、合計1,500円のワンパターンの買い方をしていたのだが、軸馬から全馬の流しに変更した事と予想の難易度に合わせた買い方にした。
もともとはそのような買い方だったのだが、恐らくは外れる事が多くて出費が多いために変更したのだと思う。
しかしこの変更は、それこそ競馬を全く知らない素人が考えそうな事で、みみっちいやり方のギャンブルが良い結果に結びつく事はまず無い。
今年の7月から、以前の買い方に近いように戻したのだが、その頃から状況は変わってきたようである。

まず、7月13日の七夕賞で2,000円の投資で23,290円の利益を得たのであるが、この予想と馬券の買い方は以下のようであった。
このレースは、7番人気のHミヤビランベリと11番人気のJミストラルクルーズで決着して馬連21,570円の高配当になったものである。

このサイトの予想は、Hミヤビランベリから全馬への馬連の流しとHミヤビランベリの複勝600円の購入である。

次に、8月23日の新潟ジャンプSを的中させ3,000円の投資で26,820円の利益を得ているが、このレースは8番人気のIユウタービスケットと10番人気のブラックレディで決着して馬連26,420円である。

このサイトの予想はIユウタービスケットから全馬への馬連の流しと同馬の複勝500円が的中している。

更に、10月26日の菊花賞では、1番人気のMオウケンブルースリが1着になったが、2着が15番人気の@フローテーションだったために馬連17,820円の配当になった。
同サイトの予想は、Mオウケンブルースリから全馬の流しなので的中して2,400円の投資で17,340円の利益を得ている。

又、11月9日のファンタジーSでは5番人気の@ワンカラットから全馬に流していたので、1着になった13番人気のBイナズマアマリリスとの組み合わせが的中して馬連20,880円を得ている。

先日(2008年12月7日)行われたジャパンカップダートでは、Iカネヒキリから全馬に流していたので2,000円の投資で11,210円の利益を得る事が出来ている。

前年度は大幅赤字だったのが、今年は投入金額を増やして5点の流しから購入を全馬への流しに切り替えただけで、現在は4,000円程度の赤字で済んでいる。
残り数レースあるので、万馬券でも的中出来れば、黒字に転換することも十分に考えられる。
私は、ここに競馬の本質(実体)が隠されていると思うのだが、いかが感じられるであろうか。
つまりは、競馬は競馬予想のプロと称する人が考えたとしても予想は容易ではないので、これだと思う軸馬だけを決めてその馬から全馬へ流すと言う様な無駄に思える買い方が、長い目で見ると儲かるのではないかと言う事である。
このサイトの予想結果に馬券の買い方のヒントが隠されてはいないだろうか。