（３４）競馬予想のプロの収支結果

競馬予想を商売としている人のほとんどが収支結果を発表しない。
したくても、外れる事が多すぎてできないのではないかと私は考えている。
競馬評論家のレベルが低いと言うよりは、競馬はもともと予想する事が無理なのだと考えた方が近いと思う。
無理っぽい事をやっているのだから、めったに当たらないのは当然な事なのである。

競馬評論家の中にはそれを逆手にとって１点予想を中心にしている人がいる。
確かに１０点以上も予想して外れるのはみっともないが、１点予想なら外れたところで文句も言われないだろうし、まぐれでも当たれば称賛される事にもなるだろう。
なかなか賢いやり方だとは思うのだが、おかげで競馬予想は完全にジョーク化（茶化）されてしてしまったし、競馬予想とはいい加減なものだ（いい加減でも構わない）と言う風潮が世間的に定着してしまった。
おかげで、競馬の'け'の字も知らないような（あくまで私の想像ではあるが）テレビ出演者が、競馬予想家気取りで競馬予想を行っている有様である。

テレビに出てくるような競馬評論家は、半分タレント気取りだから看板倒れの人が多いのだろうが、競馬評論家が全て同じレベルであると決めつけるのは早計だろう。
まだまだ、プロらしい予想の立て方をしている人や、効率的な馬券の買い方をしている人は存在している。
そんな人達が１点買いで競馬予想をするのは余り見かけないし、むしろ軸馬１頭で総流しというような買い方を指示している事の方が多い。
競馬予想紙のメインの予想を長年担当しているような人でも、言ってみれば恥も外聞もなくこのような買い方をしなければならないのである。
有能な競馬のプロと呼ばれる人達が、意外なほど多点買いをするのは良く知られている事である。
今時1点買いでも十分に儲かるような事を言っているのは、お金を巻き上げたいインチキ競馬予想サイトぐらいなものだろう。

世間的にプロと呼ばれる人達が年間どのような収支結果で推移していくのか興味を持つ人も多いのではないかと思う。
公表内容がほぼ信頼できて、年間の収支結果を発表している数少ない競馬予想のサイトの中から、昨年の重賞競走の予想結果だけを抜粋して収支結果をまとめてみた。
この予想は有料で販売している競馬予想なのだが、レースが終わった後に販売した予想の内容をそのまま公開しているのである。

具体的に予想に至った各馬の説明（使い回しが多いのだが）や馬券の買い方が書いてあってレース後に見ても参考になる時がある。
そのまま記載する訳にはいかないので、まだご覧になった事の無い方は検索（最強の男　馬券予想）して目を通して貰いたいものである。
馬券の買い方は単勝や複勝、馬連、馬単、３連複、３連単を出走馬から個別に判断して組み合わせると言う複雑な買い方をしている。
購入金額は１レース2500〜4000円程度であり、一般的な人が平均的に買う金額に合わせているようである。
無論、私はこのサイトの関係者ではないし、このサイトから情報の提供を受けて馬券を買った事も無い。

■競馬予想プロの2006年度重賞レース収支結果

ご覧になって、どう感じられるだろうか。
これが、プロの競馬予想家が予想した2006年度の重賞競走の収支結果である。
内容の計算結果については、手作業でデータを拾い集めたので、あちらこちらに計算ミスや記載違いが存在していると思う。
ただ、私が伝えたいのはそんな細かい事では無くて、プロの予想結果はどんな感じなのかの雰囲気を伝えたかったのである。
この結果で言えば、年初から半年程度の間に予想に従って馬券を買った人は、プロの予想なんて儲からないもんだと途中で止めてしまったかもしれない。
夏頃から買った人は、プロの予想はなんて儲かるのだろうと驚嘆した事と思う。
1年間の重賞競走の収支結果に過ぎないのだが、儲ける事と損する事がまさに紙一重の差である事をこのデータは語ってくれていると思う。

私の感想を述べさせて貰えば、調教データ等も良く調べてあるし、馬券の買い方もかなり工夫がしてあって、競馬予想としては合格点ではないかと感じている。（儲かるかどうかは別であるが）
このように10点以上も馬券を買ってもなかなか的中しないのに、馬券の1点予想ばかりしている競馬評論家と言うのは、いかに滑稽（こっけい）であるのかが判ると思う。
ジョーク以外にそのような事をする理由を考えるならば、競馬を始めたばかりの初心者が、大怪我をしないための方法だと言うのであれば全く理解できない訳ではない。
しかし、競馬関係のプロと呼ばれる人間が、競馬をサイコロを振るような単なるギャンブル（お遊び）として捉えてよいものだろうか。
このようなふざけた態度が、多くの人が競馬離れをしている一因にもなっているような気がしてならない。
単なるギャンブルであるなら、競馬予想家などは存在する必要など全く無い。
曲がりなりにも競馬評論家と呼ばれる人間が、お笑い芸人と同じ存在である必要など全く無いし、仮にそう（競馬評論家を名乗るお笑い芸人）なのであれば職業を変えて欲しいものである。
少なくとも競馬評論家は、競馬を趣味としている人達（競馬そのものに魅力を感じている人達）のお手本となるような競馬予想のやり方を示して欲しいものである。
こんな人に一言だけ言わせて貰おう。（冗談は　・・・だけで十分である。）

ところで、私がテレビに出てくる競馬評論家を余り好んでいないのは、予想が当たらないばかりでなく、予想として中身のない話を得意になってしゃべっているからである。
前述したが、すべての競馬評論家の能力が低い訳ではないだろうし、もっと真剣に競馬予想に取り組んでおり、成果を上げている人も必ず存在しているはずである。
そのような人達に、テレビに出てきて欲しい為にアピールをする意味で無能呼ばわりしているのである。
今のように、単にテレビ局側の担当者（ディレクター）が自分の好みで適当に選んだり、スポンサー好みの人選では、概ねレベルの低い人しか登場できないのではないだろうか。
単に話が面白いだけのお笑い芸人的な人や人気に沿った無難な予想しか言えない人達ではなく、もう少し骨のある筋の通った話の出来る人達に登場して貰いたいと思っているのである。
現在の人達も、最初の頃は少しは増しだったのかも知れないが、慢心からなのか多忙のせいなのか、中身の無い手抜きと思える予想しかできないようである。
テレビを見ている人達が、それで満足しているならこの程度でも構わないのかも知れないが、このような人達の影に隠れて有能な人達が登場できないのであれば、非常に残念な事ではないだろうか。
たかがテレビに登場する競馬関係の人選の事だが、この世界にもコネ等の影響が大きいと言われており、日本独特の体質が数多く存在しているのだろう。
このような状況は、大きい目で見れば社会全体の損失ではないかと感じるのである。
ところで、私も手抜きと言われないように、この競馬予想プロの２００７年度の成績も記載してみようと思う｡
今回も重賞競走を調べてみただけであるが、２年間も調べればこの人の実力もある程度は判ろうというものである。

■競馬予想プロの2007年度重賞レース収支結果

■競馬予想プロの2008年度重賞レース収支結果

競馬はトントンが維持出来れば儲かった状態だと言います。
その根拠は、購入馬券の25%がピンハネされた中で配当を分け合っているからです。
そうは言っても、競馬をやる人は予想を行うためにスポーツ紙や競馬新聞も数多く買っておりますし、情報代としてJRA-VANに加入して有料のデータの提供を受けている人も多いでしょう。
競馬のためにグリーンチャンネルと契約している人もいらっしゃるでしょう。
細かい事を言えば競馬予想に費やす時間の金額に換算したものとかパソコンの電気代まで考慮しなくてはいけないでしょう。
競馬予想を行うために、競馬予想サイトと契約している人は、月に3〜4千円の出費もしなくてはなりません。
競馬を金銭的な損得だけを目的にしている人にとっては、年間最低でも10万円程度は儲からないと意味が無いかと思います。

私は自分で予想するのが競馬の楽しみ方の一つだと思っておりますので、競馬予想を買ったりする事はありません。
この競馬予想サイトは、競馬は儲かるを合言葉にしているようですが、儲かる場合よりは儲からない場合の方が多いようです。
競馬を投資と考えて、お金を出して予想を買ってまでして見合うものかどうかとなると、私は大いに疑問を持っております。
儲かるどころか、多くの人がほぼ採算に近い状態になるためだけでも大変難しい事だと思います。
結局はJRAの控除率を引いた75%の回収率前後になる人が大部分だと思っています。
もし、JRAの控除率が5%程度なら競馬は純粋な娯楽として定着する事が出来るでしょう。

そのようになる可能性はまず無いでしょうから、競馬は今後もギャンブルであり続けるだろうと思います。
そうであるならば、競馬は投資や娯楽として考えるのでは無くて、趣味とすべきものではないでしょうか。
趣味ならば金銭的には75%しか回収出来なくても、楽しめる部分が多いのではないかと考えております。
その意味で、他人まかせの競馬予想は競馬の楽しみ方のほとんどを失ってしまっているのではないでしょうか。

3年度に亘り調べてまいりましたが、今回で終了させていただきます。
今年度の競馬予想プロの予想結果のコメントは行いませんが、ここまでお読みいただいた方々であれば心の中にしっかりと刻まれている事と思います。