(53)騎手の能力

2008年度の競馬も終了して各部門のリーディングが決定した。
騎手部門では当然の如くトップは武豊騎手で143勝を挙げている。
本人のコメントは、嬉しいがこの成績に満足していないので、来年はもっともっと勝ち星をあげたいとの事であった。
確かに200勝を越えた年もあったのだから、そう感じるのは無理もないが年齢的なものとか周りの状況を考えると年々厳しくなっていくのが現実だろうと思う。
来年度は従来のような極端な武豊人気と言うものは無くなっていくのだろうが、これは正常な状態にようやく戻ると言う事であり、大変喜ばしい事であると私は考えている。
騎手にとっては1番人気の重圧は厳しいものがあるだろうし、それでも勝てれば良いのだが負けた時の周りからの批判には耐え難いものがあるに違いない。
私は武豊騎手の人気が下がれば下がるほど伸び伸びとした競馬を武豊騎手は出来るだろうし、それが良い結果にも結びつくだろうと考えている。
やたら人気が先行して買いづらかった馬券が、安心して買える馬券になるような気がして、人気が下がる事は大歓迎なのである。

2008年度の騎手のリーディングを見ていて、今年は騎手の能力の上位者がはっきりと判った年だと感じた。
リーディングの上位を記載すると2位が内田博幸騎手で143勝、3位が安藤勝己騎手で119勝、4位が岩田康成騎手で118勝、5位が後藤浩輝騎手・・・と続いている。
武豊騎手のトップは動かないとしても、それに匹敵するのが安藤騎手で騎乗数が他の騎手よりも300程度少ない事を考慮するとひょっとしたら武豊騎手を上回るかも知れない。
その辺は微差であろうから、トップジョッキーと呼べる騎手は、武豊騎手、安藤騎手、内田騎手、岩田騎手の4名と断定しても良いだろうと思っている。
来年度もこの4人は不動だろうとは思っているが、岩田騎手を除いて年齢的に体力が衰えてくるだろうから、大幅な上昇は考えられないだろうと思う。

それでは来年(2009年度)にもっとも期待できる騎手は誰なのかと言えば、今年91勝をあげた19歳の三浦皇成騎手である。
この騎手が武豊騎手のように異常人気になる事を恐れているが、そうでなければ安心して騎乗を任せていける騎手となる事だろう。
強い馬に乗せた時に安心して見ていられる騎手は、居そうで実際はなかなか居ないものである。
もしそのような騎手に育って貰えれば、安心して大きな勝負をを行う事が出来る。
周りがやたら騒がないで順調に成長してくれる事を祈りたいのだが、馬鹿なマスコミは騒ぎたてるだろうから崩れてしまうかも知れない。

もし、三浦皇成騎手が駄目になった場合には、松岡正美騎手や藤岡祐介騎手、浜中俊騎手に期待したいと思う。
この3人は、未だ20代の前半であるにも関わらず、リーディングの15位以内に入っているのだから能力の高さは折り紙つきである。
その他ベテランの部類に入ったが、騎乗数の少ない割には勝ち鞍の多い北村宏騎手や四位洋文騎手にもぜひ頑張って欲しいものである。
北村騎手の場合は落馬のアクシデントがあったりして受難な年だったが、目立たないが騎手能力は高いものを持っていると感じている。
その他にも吉田兄弟や川田騎手、若い北村騎手も居るし、ベテランの小牧太騎手や柴田善臣騎手もまだまだ頑張れるはずである。

私には騎手の名前を見ただけで、その騎手の得意なコースやレースが思い浮かぶ程のレベルにはなっていないが、リーディングのどの順位程度(レベルがどの程度の騎手)なのかぐらいは頭に浮かんで来る。
特に勝負を賭けるレースの場合には、騎手の能力は大きな影響を与えかねないので十分に注意しているつもりである。
走るのは馬なので馬の能力が低い場合はどうにもならないが、馬の能力が高い場合でも騎手の能力が低いと勝てない場合が多い。
レースは騎手の一瞬の判断ミスも許されない厳しい勝負の世界なのである。