2007年5月6日のNHK杯は馬連30,800円、3連単に至って9,739,870円と言う、G1史上初めての高額配当だった。
恐らく、今後これが更新される事は無いだろう。
大波乱の結果にはなったが、私はこのレース結果を見て、予測が不可能な事ではなかったのではないかと思わざるを得ない。
もし、私の考えている通りだとしたら、馬主の方には失礼な言い方になってしまうが、MピンクカメオやQムラマサノヨートーはG1レースは勿論の事、グレードレースでの活躍は難しい事になってしまう事になる。
2着のIローレルゲレイロに関しては、1番人気の通り馬体のすばらしさと気合乗りの良さが目だっていたので、今後も活躍できると思っている。
競馬の人気は、過去の成績や調教状態、厩舎関係者の話などで決まるのだろうが、取り分け競馬評論家やトラックマン情報、パドック解説者などの所謂(いわゆる)競馬のプロと称する人達の言動が大きな影響を与えるものである。
私は他人を当てにしたくないと言う信念もあって、できるだけ無視しているのだが、テレビ番組を見ている限りは嫌でも耳に入ってきてしまう。
彼らの情報は聞き流しているつもりだが、実際には相当の影響を受けている事は間違いがない。
データとして意味が無さそうな内容を持ち出している競馬評論家と称する人も中には居るが、ほとんどの競馬関係者の予想の基としているのは調教状態と過去の成績である。
調教状態は、走っている姿とタイムであり、過去の成績は走破タイムとラップタイムを主に取り上げているようである。
勿論、展開とか馬の斤量や血統なども考慮するのであるが、だいたいはその程度の内容で予想を行うようである。
今年のNHKマイルCはそんなありきたりの内容では予想はできなかったのである。
朝からしとしと降り続いている雨は、芝の状態をじわじわと変えてきていたのである。
私は、競馬の専門家ではないし、コースに詳しい人間ではないが、コースの形状はコーナー部分で高速道路のカーブのようにかなりの傾斜がつけられていると聞いた事がある。
これは、遠心力で馬が外に膨ずに走れるようにするためであると聞いている。
ゴール前の直線も、水はけを良くするために多少は傾斜しているのかも知れない。
あくまでも私の想像だが、コースが浜辺の波うち際のようになっていて、内側の馬は波のかかる部分を走り、真ん中の馬は水が引いて走り易い部分を走っていたのではないだろうか。
最短コースのように思えた内側が、実はとんでも無い悪路であった可能性は非常に高いのである。
コースがどのような形状になっていて、今回のように小雨が朝から降り続いている状態でコースがどのように変化するのかは、競馬関係者は熟知しているはずである。
騎手の場合は状態が判っていても、枠順等の関係から好きなコースを走る事はできないだろうが、才能のある競馬評論家であるならば、この事を含めて容易に想像できたのではないだろうか。
残念ながら、テレビに出ていた競馬評論家のレベルでは、馬場状態については「良い馬場状態の中で競馬をやらせたかったですね。」のコメントをするぐらいしか頭が回らなかったようである。
私などは馬場が悪くなれば、コース全体は一様に悪くなるものだという程度の知識しか持ち合わせていなかったために、先行馬のEイクスキューズに期待していた程である。
馬場が悪くなれば、先行して潰れかかっても他の馬が差しては来れないのではないかとの単純な発想である。
Eイクスキューズはパドックではかなり入れ込んでおり、スタート後も引っかかり気味ではあったが、4コーナーあたりまではもしかしてと感じる程の走りをしていた。
しかし、4コーナを抜けたあたりから勢いがなくなり、ずるずると後退してあっと言う間に馬群の中に沈んでしまった。
恐らくは泥だらけの田んぼの中でも走らされているような感覚だっただろう、牝馬にとっては限界を超えるものであった。
この馬だけでなく、コースの内側を走っていた10番程度までの馬番の馬達が、ことごとく消えてしまったのである。
私がこの事を感じたのは、レース後のJRAの全周のパトロール映像を見たからである。
パトロール映像は上から撮影しているために、馬場の状態が多少は見えるのである。
それにしても、このパトロール映像は、なんでこんなにピンボケなのだろうか。
最近の映像機器はオートフォーカスは勿論の事、解像度も飛躍的に向上しているのだが、JRAは競馬場の巨大スクリーンとかには金を掛けるが、なぜ映像機器にはお金を出し渋るのだろうか。
その気になれば、騎手の表情も判るぐらいの映像も流す事も出来るはずである。
競馬場で巨大スクリーンを見る人間よりも、録画映像を見ている人間の方が数十倍多い事は容易に想像できる。
エンコードレートを上げた映像をもう1つ用意するぐらいで事が足りるはずである。
ひょっとしたら、レース内容があまりにもはっきりと写ると、審議関係で具合の悪い事があるのかも知れない。
なにしろ、去年の9月頃まではそんな無料映像自体を放映しなかったぐらいなのだから。(今でも映像配信には金を取っているが。)
私の感想を言わせて貰えば、今年のNHKマイルCは馬場の状態70%、馬の力30%で決着したと思っている。
そして、これは馬場を熟知している人であれば、ある程度は想定する事が可能だったのではないかとも思っている。
もし、朝からまんべんなく降り続いた小雨の天候状態から内枠不利、先行馬不利の予想をたてた競馬評論家がいたとしたら、すぐにでも現在テレビに出演している競馬評論家連中と交代して貰いたいものである。