(23)競馬の控除率の話

競馬をやる人は馬券の控除率について気にする事があると思う。
一般的には単勝や複勝の控除率が20%で、その他は25%であると考えている人が大部分だろう。
私もそう思っていたのだが、必ずしも正確ではないかも知れない。
競馬情報:ウソとホントの解説によると以下の通りになっています。(要約)
最初にまず18%を控除します。
次に、残った82%の中から不的中の分の中から10%控除すると言うのです。
つまり、全ての人が的中しなかった場合は82%×10%=8.2%の控除になり、半分の人が的中した場合は41%(82%の2分の1)×10%=4.1%の控除、全ての人が的中した場合は0%と言う事らしいです。
全員的中 18+0=18%の控除率
半分的中 18+4.1=22.1%の控除率
全員外れ 18+8.2=26.2%の控除率
と言う事らしくて、正確な控除率は18〜26.2%の範囲であると書いてありました。

確かに2007年3月6日のスポーツ報知の記事によると
’政府は5日の事務次官会議で、馬券の売り上げのうち75%と定められている払戻金の上乗せを拡大できることを柱にした、競馬法と日本中央競馬会法の改正案を決めた。6日の閣議で正式決定する。
払戻金を算出する際の控除率を引き下げて払戻金を増やし、ファンへの利益還元を図ることは、JRAの懸案になっていた。
現行では、すでに05年の法改正で単勝、複勝に限定して、売り上げの80%を払戻金に充てられるようになっている。
馬券の種類は、単勝、複勝のほか、枠連、馬連、ワイド、馬単、3連複、3連単の計8種類ある。JRAや地方競馬を主催する自治体が、今後どの馬券にどの程度上乗せするかを決める。
上乗せの上限は農水省が定める。
また、日本中央競馬会法改正案には、JRAに、農相がメンバーを任命する経営委員会を新設するとした機構改革案が盛り込まれた。’
となっていますから、現在は解説の通りになっているのかも知れません。

それにしても、この記事には権力を盾にJRAに影響力を与えたい官僚の考え方が滲み出ていて気分が悪くなります。
これでは天下り体質は決して無くならないと確信できます。
ところで、この25%の控除率の中の10%が国庫納付金となっているのだから、競馬が衰退の一途を辿っているのが控除率が原因であるとしたならば、全てがJRAの責任ではなく国家(政治家)もかなり関係していると言えるでしょう。
現在のように、地方競馬が絶滅するのを目の当たりにしても自分達の環境を守る事ばかりにに専念しているJRAと国にはあきれるばかりである。

実は、こんな事になるのを数年前から予想して論評をしている方も数多く見受けられます。
古くは1997年の産経新聞の私はこう考えるでJRAのテレビコマーシャルについて批判をされています。
この体質は現在でも全く変わっていません。
JRAには大々的に広告宣伝費を使わなければならない何らかの事情があるのでしょう。
あくまで推測に過ぎませんが、膨大な広告費の一部がどこかに還元されているのかも知れません。

2004年の4月20日付けのコラムでは競馬国際交流協会の理事長が控除率、世界は今 !! と言う提言をされています。
これも族議員とか訳のわからない連中のためでしょうか、申し訳程度にしか進まないようです。
結局は自分の首を自分で絞めているのですが、それに気が付かないのでしょう。
根底には、今さえ問題なければ後の事はどうでも良いと言う政治家や官僚独特の考え方があるのでしょう。

控除率が他の国と比べてどうなのかについては、「控除率」高い日本の馬券でこのように記載されている。(抜粋)
’JRAなどによると、欧米の主要国では日本よりも控除率が低いケースが多い。
競馬の本場、英国では馬券の種類と控除率は馬券発売公社の裁量に任されているが、単勝式で13・5%、複勝式で18%、フランスは単勝・複勝ともに18・48%に抑えられている。
米国での控除率は、州によってまちまちだが、全米サラブレッド競馬協会(NTRA)が単勝については18%の上限を設け、その枠内で各州で決めるよう求めている。
単・複勝とも16%前後が主流のようだ。’
同記事には、’『公営競技の文化経済学』などの著書がある九州共立大経済学部の佐々木晃彦教授は「控除率を低くすれば競馬の売り上げが増える、といった安易な方法をとるべきではない。
もっと競馬場内を楽しい空間にして、若いファンを呼ぶ工夫をすべきだ」と指摘している。’
の記載もある。

私はこの教授の意見には反対である。
PATと言うインターネットを使った素晴らしいシステムが出来上がった今は、競馬場を多少きれいにした所で入場者が増えるのは一時的な事と思っている。
後はJRAが競馬の開催日にインターネットを使って競馬のレースの生の映像配信を無料で行えば、理想的に近い状態になると私は考えている。
家でじっくりとパドックや返し馬の状態が見られるならば、パドックで人気馬しか写さなかったり、そさくさと形式的に映像を流しているような民放のテレビ局ともおさらばできる。
この程度のサービスは、当然必要な事と思っているのだが、グリーンチャンネルの存在もあるし、過去のレースの映像配信にもお金を取る有様だから、実現する事はあり得ないだろう。

控除率を低くする事を安易な考えとしている点についても多少異論がある。
私は競馬人口が減っているのは、競馬で儲からない人が余りにも多い事が原因の一つであると考えているので、もう少し儲かる人が増えるようにするとか負けが多い人に還元できるようにするとかのシステムの変更が必要だと考えている。
(魅力のある馬の早期引退とか賞金システムや昇級システム等の競馬のシステム自体に大きな問題がある事は承知している。)
前者に対しては控除率の引き下げは有効だと考えているので、安易な考えとはとても思えない。
失礼ながら、この教授は競馬をやった事は無いのだろうと推察するのだが、実際はどうなのだろうか。
あるいは、この教授はどこからか依頼されてこの記事を書いたのではないかとついつい余計な事まで考えてしまう。
東京競馬場はきれいになったので、この教授の言う通りだったのかはいずれ判明することではある。

他サイトのブログにも同様な解説がありました。(抜粋)
自分で考えなくても良い時代になって、ありがたい事ですがボケは進みそうです。

(払戻金)
第7条 日本中央競馬会は、単勝式勝馬投票法及び複勝式勝馬投票法の勝馬投票の的中者に対し、当該競走に対する勝馬投乗券の売得金(勝馬投票券の発売金額から第12条の規定により返還すべき金額を控除したもの。以下同じ。)の額を勝馬投票法の種類ごとに区分した金額について、付録に定める第1号算式によつて算出した金額から付録に定める第2号算式によつて算出した金額を控除した残額に付録に定める第3号算式によつて算出した金額を加えた金額を、当該勝馬に対する各勝馬投票券にあん分した金額を、払戻金として交付する。
2 日本中央競馬会は、連勝単式勝馬投票法、連勝複式勝馬投票法及び重勝式勝馬投票法の勝馬投票の的中者に対し、当該競走に対する勝馬投票券の売得金の額を勝馬投票法の種類ごとに区分した金額について、付録に定める第1号算式によつて算出した金額から付録に定める第2号算式によつて算出した金額を控除した残額(重勝式勝馬投票法において第9条第1項又は第3項の加算金がある場合にあつては、これに当該加算金を勝馬の数で除した金額を加えた金額)を、当該勝馬に対する各勝馬投票券にあん分した金額を、払戻金として交付する。
3 前2項の規定により払戻金を算出する場合において、勝馬投票の的中者のない勝馬があるときは、その勝馬は、その算出については、勝馬でないものとする。
4 前3項の規定により算出した金額が、勝馬投票券の券面金額に満たないときは、その券面金額を払戻金の額とする。

附録
第1号算式
(W+D/P)×(1−R)=T
Wは、当該勝馬に対する勝馬投票券の総券面金額とする。
Dは、出走した馬であつて勝馬以外のものに対する勝馬投票券の総券面金額とする。
Pは、勝馬の数(勝馬投票の的中者がない場合にあつては1)とする。
Rは、第8条(第22条において準用する場合を含む。)の規定により、農林水産大臣が定める率とする。
第2号算式
(T−W)× r
Tは、第1号算式のTに同じ。
Wは、第1号算式のWに同じ。
rは、100分の10とする。
第3号算式
A/P×a
Aは、出走したすべての馬に対する勝馬投票券の総券面金額とする。
Pは、第1号算式のPに同じ。
aは、100分の5以内で中央競馬及び地方競馬ごとに農林水産大臣が定める率とする。

*競馬法の一部改正に伴い控除率制定に関する件
競馬法(昭和23年法律第158号)第9条(第22条において準用する場合を含む。)の規定に基き、農林大臣の定める率を次のように定め、昭和25年12月22日から施行する。
競馬法第9条(第22条において準用する場合を含む。)の率は、100分の18とする

該当馬の総投票金額がW
該当馬以外の総投票金額がD
全ての馬の総投票金額がA
Pは勝馬の数なので単勝の場合1となる
Rは現在100分の18。つまり0.18
rは、100分の10。つまり0.10
a=0.05とすると
W+D=Aなので

第1号算式
 T=(W+D/P)×(1−R)
  =(W+D)×(1−0.18)
  =A×0.82
  =0.82A

第2号算式
   (T−W)× r
  =(A×0.82−W)×0.10

第3号算式
 A/P×a
 =A×0.05
 =0.05A

単勝の配当金の合計は、1式−2式+3式なので
 1式−2式+3式
 =T−{(T−W)×0.10}+0.05A
 =T−0.1T+0.1W+0.05A
 =0.9T+0.1W+0.05A
 =0.9×0.82A+0.1W+0.05A
 =0.738A+0.1W+0.05A
 =0.788A+0.1W
つまり
 全ての馬の総投票金額×0.788+該当馬の総投票金額×0.1
で配当金の合計が求められる

オッズは配当金の合計を該当馬の総投票金額で割ればよいので
(0.788A+0.1W)÷W
 =0.788A÷W+0.1
つまり
 0.788×全ての馬の総投票金額÷該当馬の総投票金額+0.1
となる。