(9)データ競馬に必要なデータとは

競馬を予想する上でどのようなデータが必要なのでしょうか。
あるいは一般的にはどのようなデータで競馬の予想をしているのでしょうか。
そして、それはレース結果に反映しているのでしょうか。
そこを調べてみる事にします。

■持ちタイムで馬の能力を比較する

通常の陸上や水泳等のスピードを争う競技では、各選手が以前に記録したタイムを基に優勝候補として有力だとか予想されます。
この予想はかなりの確率で的中します。
100m競争も100分の1秒を争うレースですが、無名の選手が勝つような事はほとんどありません。
過去に早く走った事のある選手は、次も早く走る事が出来る可能性は非常に高いと言えます。
これを競馬に当てはめて考えてみましょう。
過去に1着の多い強い馬はやはり1着になる事が多いんじゃないのと言われそうです。
確かにスーパースター的な馬が存在するのは確かです。
ただ、それらの馬は持ちタイムがどうのこうの以前にレースに参加した段階で候補に挙げられます。
このような馬は極まれで、数える程しか居ません。
そのような馬以外の場合を比較する場合はどうでしょうか。
過去の持ちタイムの良い馬は本当に次ぎのレースでも勝てるのでしょうか。

●競馬場による違い

陸上競技や水上競技の場合はコースの条件が厳格に管理されています。
基本的に同一の条件でレースは行われています。
それでも風の影響が少しあるだけでも、追い風参考記録になって記録として認めて貰えない場合もあるほどです。
競馬の場合は競走馬のレースとして記録を追求する目的はありませんから全く状況が異なります。
距離が同じでも、各競馬場のレイアウトは全く異なりますし、ゴール前の直線の長さ、起伏の状況等も全て異なっています。
まさに故意に異なる環境にしていると言っても過言ではありません。
これでは単純に持ちタイムを比較するのは無理であると言わざるを得ないでしょう。
事実、データ的に各競馬場における距離と時間の補正値等を算出して予想する例もあるようですが、状態の変化要素が多すぎてとても簡単に補正等できるとは思えません。

●レースのペースによる影響

競馬は1000mや1200mではほぼ全力疾走に近い走り方をさせる場合が多いようですが、それ以上の距離の場合は馬の能力から考えて、騎手がペースを作っていかなければなりません。
このペースは、レースに参加している馬の状況から勝てそうな馬はできるだけ楽に確実に勝とうとするし、チャンスのほとんど無い馬はいちかぱちかで走る事も多いため一定ではありません。
特に馬の能力を目いっぱいに出さずに勝てたようなレースでは、タイム的には平凡なものになるでしょう。
このような中で記録されたレースの記録(持ちタイム)を比較する事はどれ程の意味をもつのでしょうか。

●その他の違い

違いはそれだけではありません。
走った時の馬場の状態もかなり影響があるでしょう。
不良馬場や重馬場の状態でのタイムと良馬場のタイムとでは比較の対象にもなりませんが、同じ良馬場でも回を重ねて馬場の内側が痛んできて競走馬が外を回るような状態ではやはり単純な比較はできません。
その時の枠順やコースの右回り左回りの違いも影響があるかも知れません。
記録したデータの時期によっても多いに影響があります。
3歳の春と秋ではかなり違ってくるでしょうし、5歳馬の時の記録と8歳馬では違ってくると考えるのが自然でしょう。
その時の馬の調子も当然あるでしょうし、ローテーションや輸送などの影響もあるかもしれません。
その時の騎手のうまい下手による差も当然あるでしょう。
単にタイムだけを比較するのはほとんど意味が無いように思えます。

●持ちタイムで馬の能力を比較する事は全く無意味なのか

持ちタイムを単純に比較する事はあまり意味がありませんし、逆に誤った予想をする事にもなります。
それでは持ちタイムで馬の能力を比較するのは全く無意味であるかと言うと、そうとも言えないのが競馬の難しい所です。
競走馬の力を比較する場合には、過去のレースの着順という事になります。
競走するメンバーはいつも同じであるなどという事は、めったにないでしょう。
そこで馬の走る能力を比較する場合に必要なのは、レースの着順とその時の走破タイムと言う事になります。
ほとんど当てにならないとは言え、走破タイムで馬の絶対的な能力を比較するしか方法がないように思えます。
あまり当てにならない事は確かですが、参考にはしなければなりませんし、参考程度にはなる事も確かです。

■上がりタイムで馬の能力を比較する

上がりタイムとはゴールまでの残り3ハロン(約600m)を走った時間を言います。
トップクラスの馬は33秒台で走る事ができます。
壺にはまって、あっという間に他の馬を抜き去る姿はまさに爽快の一語に尽きます。
上がり時計の早い馬は確かに強さを感じますし、レースの結果にも反映します。
あまり当てにならない走破タイムで馬の能力を比較するよりも、上がりタイムで馬の能力を比較した方が良いような気がします。
しかし、上がり時計の比較での予想には以下の欠点がある事も忘れてはなりません。

●レースの展開に左右される

上がり時計の良い馬が鮮やかに勝ちきれるのは先行馬の足色が衰えるからです。
疲れの出るゴールまでの直線の昇り坂の付近で特にその傾向が現れます。
レースがハイペースで推移した場合には、このような状態になりますが、先行馬もわざわざ負けるレースをするつもりはありません。
レースが平均的なペース以下で推移した場合は、足色の衰えは少ないために、どんなに上がり時計の良い馬でも抜き去る事は難しくなります。

●レースのペースを作れない

更に難しいのは、差し馬や追い込み馬は自分ではレースのペースを作る事はできません
先行馬が多くてうまい具合にハイペースになったとかのような事がないとなかなか勝つチャンスがありません。
つまり、他力本願的な所が追い込み馬の泣きどころと言えます
かといって、ペースが遅いからと言って追込型の馬を無理に先行させた場合は、馬の持ち味が生かされず良い結果は得られないでしょう。

●先行持続型の馬が増えてきている

最近の傾向としては、先行しても足色の衰えない馬が増えている事が挙げられます。。
先行した馬はある地点(ゴール前の昇り坂)を境にして急激にスピードが落ちるのが普通です。
そのスピードの落ち方の少ない馬が増えてきました。
競走馬がタフになってきたのかも知れませんし、騎手のペースの取り方の影響かもしれません。
あるいは競馬場のコース管理が行き届いて馬場状態が良くなってきているのかもしれません。
たとえゴール前はどてどての状態でも、鼻差でも勝っていれば勝ちは勝ちです。
あとゴールが30cm先だったらとかのたらればが通用するはずもありません。
そんな予想の難しそうなレースに手を出すのが悪いと言われそうです。
予想の難しくないレースは無いと私は思っています。

●上がりタイムで馬の能力を比較する事は意味がないのか

私は上がりタイムをレース予想をする上で重要なファクターだと現在でも思っています。
確かに、有力馬が後方から追い上げて来ても届かないケースも増えて来ています。
以前ほど重要視はしなくなりましたが、馬の能力を比較する上では重要であると認識しています。

■斤量の影響を調べて見る

競馬のハンデ戦では斤量によってハンデを設定しています。
馬の走る能力差は歴然として存在しますので、その能力差を埋めるために考えられた方法です。
本来ならば、そんな不確かな方法よりもスタート地点を変えるような方法が合理的でしょうが、人間ならともかく馬がスタート地点を変えて走らせる事などはどう考えても不可能でしょう。
わざわざ、ハンデキャッパーなどと言う専門の人が居て、ハンデ戦では斤量を決めているようです。
私が見る限り、馬に斤量による影響は確かにありますが、重さと影響力についてのはっきりとした因果関係は無く、ほぼ当てずっぽうと考えて間違いありません。
例え59Kや60Kを背負っても強い馬は強いし、49Kでも駄目な馬は駄目であると言う事です。
かと言って、余り関係しないだろうとたかをくくると、時折軽量馬が大穴を開けたりしますので競馬は難しいです。

※(注)斤量についていろいろ調べて見ました(解説されているHPから抜粋させていただきました)
斤量の決め方は、レースによってまちまちです。
定量"とは、別定重量の中の特別なパターンである。
獲得賞金や勝利度数に関係なく、年齢と性別だけの差で斤量が決まっており、ダービーや天皇賞、有馬記念など、G1レースはすべて定量戦。

別定重量とは、基礎重量を定めて、これに収得賞金、勝利度数(特にグレードレースの勝利数)によって斤量を増やしていく方法。
2000年までは、ベース斤量57kg(4歳6月〜5歳8月まで)に対して高齢馬(5歳9月以降〜)及び若駒(4歳5月まで)に1kg減の措置がとられていた。
ところが2001年以降はペース斤量に対する措置がこう変わった。
4歳馬は古馬のベース斤量に対して、そのレースが1600m以下戦ならば1月まで、2199m以下戦ならば2月まで、2200m以上ならば3月まで1kg減とする.
2001年以降の秋競馬。1kg減の措置を貰えなくなった高齢馬の成績は当然落ちる。もちろん全体平均の話だ。
一部の重賞級の力を残している馬だけが競走馬としての人生(馬生?)を続けられるようになる。
同じように4歳馬の春競馬も古馬としての実力を早くて2月、遅くても4月に結果を求められる。

・G3実績別定
4歳(馬齢重量による) 5歳以上(各レースによりベース斤量は異なる)
G3競争1着馬 1kg増 G2競争1着馬 2kg増 G1競争1着馬 3kg増(ただし2歳時の成績を除く)
・G2実績別定
4歳(馬齢重量による) 5歳以上(各レースによりベース斤量は異なる)
G2競争1着馬 1kg増 G1競争1着馬 2kg増(ただし2歳時の成績を除く)

例えば、G3実績別定にG3競争1着馬とG1競争2着馬が出たら?
前者は1kg増、後者は増なし。
この斤量規定を見ると格と斤量の関係も分かります。
1kg 1グレードです。
即ち、G1馬に他馬より1kgの斤量増をしてやればG2馬に早変わりという事です。
JRAはこの別定規定を2004年に一部変更しました。
当レースから遡って1年以上前の重賞実績の場合、斤量増を1kg減らすというもの。
たとえば、G3実績別定で過去にG2競争1着なら2kg増。ところが、そのG2競争が1年以上前の成績ならば1kg増で良いという事になります。
馬齢重量で厳しくなった古豪が、ここでは少しの可能性を見出せる訳です。
この新規定の対象となったのは以下のレースです。
・阪急杯(G3)
・阪神大賞典(G2)
・日経賞(G2)
・産経大阪杯(G2)
・読売マイラーズカップ(G2)
・京王杯スプリングカップ(G2)
・金鯱賞(G2)
・セントウルステークス(G3)
・産経賞オールカマー(G2)
・毎日王冠(G2)
・農林水産賞典京都大賞典(G2)
・富士ステークス(G3)
・毎日放送賞スワンステークス(G2)
・スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(G2)
・CBC賞(G2)

ハンデ戦は、3人の担当ハンデキャッパーが、競走成績や最近の調子などを材料に各馬の斤量を決める。
ハンデキャッパーはJRAの職員であるが、朝の調教時間中は追い切りの様子をチェックするため、美浦・栗東の調教スタンドに"早朝出勤"している。
ハンデ戦は、どの馬にも勝つチャンスを与えるというのが主旨である。
ちなみに斤量の"斤"は昔使われていた重さの単位で、1斤=0.6キロ。

■その他の競馬予想に重要な因子(ファクター)

競馬の結果に影響を与える要素は数多くあると思います。
その研究を行って発表されている HRPTV5C と言うサイトもあります。
それの一部を抜粋させていただきますと
( 1)騎手
( 2)父馬
( 3)調教師
( 4)母父馬
( 5)生産地
( 6)馬齢
( 7)収得賞金額
( 8)レース経験数
( 9)馬番
(10)斤量
(11)馬体重
その他にも、取り上げたらきりが無い程の要素が考えられるようです。

この中で、騎乗する騎手と馬の血統は競馬を予想をする上では無視できない要素でしょう。
その他にも、騎手や調教師の誕生日などの記念日に走る馬をチェックだとかがあるようです。
なんでも、調教師や騎手の誕生日を祝ってあげたくて、周りの取り巻き連中が特に念入りに馬の世話や調教を行う事があるのだそうです。
普段はいい加減な手入れや調教を行っているのかと言いたくなりますが、馬券を買えない彼らにとっては競馬は単なるセレモニー(娯楽)の1つなのかも知れません。
生活費を削りながら、身銭を切って必死に予想している我々とは所詮次元の違う世界で暮らしているのかと思ってしまいます。(必死なのは私だけかも知れませんが。)