(72)スピード指数は競馬予想には使えない

スピード指数と言うのがあって、サイトでも詳しく解説されておりましたので、私見を述べたいと思います。
スピード指数の考え方はかなり古い時代から競馬予想に利用されており、初めてこの考え方が紹介された時には、その斬新な考え方に競馬ファンは驚嘆したようです。
私も競馬を始めた頃は、右も左も分かりませんでしたから、片っ端から競馬予想関係の本を読み漁り、実践してきました。
サインとか出目なども本気になって信じていた時期もありました。
それから数十年が経過した訳ですが、これだけ経験を積むと、さすがに本物と偽物ぐらいの判別はつくようになりました。

サインとか出目が競馬予想には無意味なのは、人並みの知能がある人なら直ぐに判断できるでしょうが、「データマイニング」や「スピード指数」に関しては、判断が難しく、10年ぐらいは競馬予想の有力な方法ではないかと本気になって研究したものです。
話が横にそれますが、「データマイニング」に関しては学問的にもりっぱな考え方だと思います。
例として取り上がられるのが、「気温とアイスクリームの売れ行き」の関係や、「デパートの駅からの距離と集客数」の関係で、これは事実その通りであると思われます。
この考え方を競馬予想に取り入れれば、穴馬予想が的中して大儲けできるのではないかと考えたのですが、JRA-VANの「データマイニング」予想を検証して見れば分かる通り、確かに大穴予想が的中する事がありますが、予想が外れる場合が圧倒的に多くて損失が蓄積されるばかりなので、1〜2か月もすれば使い物にならないと判断できます。
なぜ学問的に正しい事が立証されている「データマイニング」が競馬では全く役に立たないのかと言うと、これも理由ははっきりしていると思います。
予想に用いる「因子」が余りにも希薄であるからです。
例に挙げた温度とアイスクリームを食べたいと思う人の関係は明白です。
今日は寒くて凍えそうだがアイスクリームを食べたくてしょうがないなどと思う人はまず居りませんし、降りた駅から20分の距離だけど歩いて買い物に行こうかと言う人も少ないと思います。

今日は暑いから、黒毛の馬よりは白毛の馬が勝つだろうと判断しても、その傾向は多少はあるかも知れませんが(夏場は芦毛の馬を買えと言う有名な説があります)、それ以上に馬の能力の影響の方が高いでしょう。
あるいは、この調教師の調教した馬は勝つ場合が多いとデータから得られても、その傾向はあるでしょうが影響度は弱いです。
「データマイニング」では、その他にも数多くの因子を投入して予想するのでしょうが、影響度の弱い因子をいくら集めてもはっきりとした傾向など掴める訳がありません。
だから、「データマイニング」予想は、的中する事はありますが、的中率で見ればオッズを基にして買う場合の足元にも及ばない結果になるのです。
今後、「データマイニング」予想に有力な「因子」が見つかるとも思えませんので、この予想方法は競馬予想の表舞台に出る事は決して無いでしょう。

さて、本題に戻して私がスピード指数は競馬予想には使えないと思う理由を述べたいと思います。
まず、スピード指数を知らない方のために、西田式スピード指数のサイトに載っているスピード指数の解説を抜粋します。

スピード指数というのは競走馬の走破タイムを数値化したものです。
通常、レースに出走する各馬の前走の走破タイムはそのままでは比較できません。
それぞれ走ってきた競馬場も違えば距離も違います。また競馬新聞に記載されている「持ちタイム」はそのタイムを出した時の条件がそれぞれに異なりますから、それをそのまま比較してもあまり意味がありません。
例えば、A馬は東京の芝1600mを1分34秒5で走った。B馬は京都の芝1600mを1分35秒2で走った。さてどっちが速いでしょう?と比べても、それぞれの日の馬場状態が分からないし、背負っていた斤量や競馬場ごとの違いも加味して考えないと間違った結論を出してしまう可能性があります。
そこで、それぞれ異なった日に、異なった競馬場、異なった距離、異なった斤量で走ってきた馬たちの走破タイムを、同じテーブルの上で比較しようというのがスピード指数なのです。


説得力のある明快な解説だと思います。
この方法を用いれば、誰でも穴馬を探し出すのも容易だろう思いますし、私も必死になって研究した時期がありました。
指数の求め方も記載してあって、以下のようなものです。
スピード指数= (基準タイム−走破タイム)×距離指数+馬場指数+(斤量−55)×2+80
基準タイムと言うのは解説に書いてありますが、「各競馬場ごとに500万条件と1000万条件で行われたレースの1〜3着に入着した馬のタイムの平均を求めてさらに平均したものです。」と言う事のようです。
通常のレベルの馬(500万条件と1000万条件の馬)が走れる平均のタイムを距離の長短で若干修正し、更に馬場状態の影響も考慮して若干の修正を行っているものです。
更には斤量の影響もあるだろうと言う事で斤量の影響も考慮しています。
その値に+80しているのは、100点満点で指数を表示させたいためのようです。
一点の疑う余地の無い明快な理論だと思われる方が大部分だろうと思います。
これを使えば明日からは競馬で大儲けできるぞと意気込んで使う方が多いと思いますが、大金を出して買った「基準タイムデータ」の元を取り返すのも大変ではないかと私は思います。

競馬を趣味としている人なら、この理論には致命的な欠陥があるのが理解できると思います。
それは、競走馬の 走破タイム は参考程度にしかならないと言う点です。
全ての馬が全てのレースで全力を出し切ってレースを行うのであれば、個々の馬の走破タイムには、そこそこの信頼性が得られるでしょうが、実際のレースで全力を出し切って走る事は極めて稀でしょう。(レースは他の馬より勝てれば良いのですから)
そんな事(全てのレースで全力を出し切る)をすれば、故障馬が続出する危険すらあります。
競馬予想には持ちタイムを好んで使う競馬評論家もおりますが、長く競馬を経験している者ならご存知の通り、持ちタイムなどは参考程度にしかならないものです。
レースの展開によって、持ちタイム以上の速さで走る事など日常茶飯事に起っています。
そもそも、走破タイムは展開だけでは無くて、その時の馬場状態によっても大きく変わるものです。(だから計算式に馬場指数とか言う物も含めていますが、計算方法が大雑把で安直です)

スピード指数の不合理な点は、不安定な「走破タイム」を基にしている点で既に破綻しておりますが、更に言わせていただければ斤量の補正のやり方も適切ではありません。
斤量が少ない方が有利であるのは確かですが(障害競走は軽すぎると問題があるようですが)、斤量による影響の度合いは単純には計算できません。
はっきり言いましょう。
余りにも安直な予想方法である スピード指数は競馬予想には使えない です。

いや、俺はスピード指数を使って大儲けしていると言う人も居るかも知れません。
私は、「スピード指数は競馬予想には使えない」(信頼性が低いだろう)と言っているだけで、「スピード指数を競馬予想に使うな」と運動するつもりはありません。
あくまで、個人がそう信じている事を述べているだけで、私の損得にも関係はありません。
ただ、使えないと批判すると(ひょっとして影響を受ける方が居たりして)スピード指数で商売をしている人の邪魔をする場合もあるかも知れませんので、私の言った事が正しい事は願っております。
それは、私が馬鹿馬鹿しいと言っている、サインや出目で馬券を買っておられる方にも同様です。
世の中には全ての事象が神?と称する者にコントロールされて動いていると信じておられる方が多いのは存じております。
もし、出目や風水やスピード指数を崇拝している方で気分を害された方がおられましたら、(所詮は競馬の素人の戯言の部類ですので)お詫びします。
自分の誕生日の数字で馬券を買う人を誉めたりはしませんが、競馬は遊びなのですから何でも有りの世界(個人の自由)です。