(67)馬券の買われ方

競馬予想ソフトを作成していると過去のレースは当然ながら検証する事になる。
正直な所、気が遠くなる程の過去のレースの検証は行っている。
こんな不確実な事の検証に膨大な時間を割くのは、自分でも馬鹿げていると思うし、まともな人間のやる事ではないとも思っている。
何故こんなくだらない事に時間を割くのかと問われれば、私は競馬を利用して金儲けしている連中を腹立たしく思っている事が理由の1つには挙げられと思う。
どんなに競馬で安定して儲ける方法などは無いと力説しても、競馬の必勝方法を求めて財産をつぎ込んで失う人は後を絶たない。
自業自得の行為だから私の知った事では無いのだが、競馬の初心者が悪徳な業者(競馬を金儲けの手段としている連中)に騙されてお金を失っているのを見るのは、やはり心が痛む。
的中確率と配当から考えて、競馬は趣味以上の存在には絶対にならない事は改めて力説したい。
JRAの控除率が5%程度なら、競馬はもっと楽しめる娯楽になると思うのだが、JRAのやり方(考え方)を見ていると永久に無理だろう。

私も今でこそ競馬で安定して儲ける方法は無いと自信を持って言えるのだが、競馬評論家が無能な存在である事を知るのには10年は掛かったし、パドック解説者と呼ばれる連中が素人と大差ない事を知る事にも10年を必要とした。
これを私が力説しても信じる事ができない人が大部分だろうから、これから競馬を始める人には、私が10年を必要とした事を1年で会得して貰いたいと思っている。
もし1年が無理なら3年でも良いし、3年が無理なら5年でも良い。
兎に角、自分で納得できる事が最良だろうと思う。
どんな人間でも5年も付き合えば見えてくるものであるし、例えブラウン管(今は液晶テレビ?)を通してでも5年も観察すればその人間が見えてくるし見えなければならない。

人間が見えて来る事は、ある意味では大切な事でもあるだろうが、反面人間が見えてくると人生がつまらなく感じてくることもあるだろう。
若い頃のように周りの人が全て友人のように思えて、世間がバラ色に満ち溢れていた時代とは一変するからである。
その変わり、本当の意味での人間が多少なりとも見えてくるから、安易に人に踊らされたりする事はなくなると思う。
これが年を取ると言う事なのだろうと最近は感じている。

さて、本題の馬券の買われ方に入ろうと思う。
馬券の買われ方を検証してみると1番人気の信頼度は絶大なものである事を痛感する。
統計的に見れば、1番人気の勝率や連対率は毎年安定してトップなので当然の事のように思えるが、確率的に言えばせいぜい3〜5割程度の的中率である。
どんなに信頼性がトップであっても、半分は外れるのである。
そうは言っても、1番人気を買っていれば3割的中できるとしても、残りの7割はその他大勢なのであるから、2番人気や3番人気は多少は高いとしても、確率は1割以下だろう。
それで多くの人は仕方なく1番人気の馬を重視しているのだろうと思う。

馬券の買われ方を見てみると1番人気を軸にして2,3,4番人気程度までの3点で流して買う人は極端に多い。
多少多めに買う人は7番人気程度までのようである。
そして1番人気から流す買い方が的中率は最も良い。

しかし、競馬は的中率が高い買い方が儲かるかと言うとそうではない。
こんな買い方をしている人は、数多く的中してしている事は実感できるだろうが、その割にたいして儲かっていないことに気が付くと思う。
大きく損をする事は無いが、数多くのレースに参加する度に収支は悪化していって、最終的には7〜8割の回収率になってしまうだろう。
これが競馬に参加する人の大部分のパターンだろうと思う。
多くの人は競馬とはこんなものだろう(長く続けなければ儲かる場合もあるので)と満足しているだろうと思う。

仮にこれで満足できないで1番人気馬を平然と外して買った場合はどうなるのだろうか。
時折、万馬券をゲットできたりして競馬の必勝方法を会得した気分になる事もあるだろうが、今まで7割程度は安定して回収できていたのが5割以下の回収率に遭遇する事も多く味わう事になる。
穴馬専門と公言して馬券を買う人も多いのだが、この買い方も不安定で決して優れた買い方ではないと私は考えている。

ではどんな買い方が良いのだろうか。
競馬の中級者以上の人なら誰でもやっている事だが、まずレースを選択する事である。
誰でも参加したくなる堅いと思われるレースには参加をしない事である。
お金を多く持っている人は、堅いと思われるレースに大量の資金を投入して儲ける方法もあるが、一般人が1000円や5000円をつぎ込んで200円や1000円を儲けたところで何の足しにもならない。(これで満足できる人は別だが)
堅い場合でも外れる事もある(意外に多い)ので、外れた時に取り返すだけの投入資金を持っていないと一瞬にして資金を失う事になる。
堅いレースは、お金を無尽蔵に持っている金持ち(プロ的な人)が参加するレースであると認識している。

予想が難しくて荒れそうなレースに参加する事も厳禁だろう。
こんなレースは運良く的中すれば数万馬券にはなるだろうが、的中する前に資金が底を突くと考えた方が良い。
競馬で一攫千金を狙う人達に競馬はそれ程甘い存在ではない。
ここまで言えば答えは自ずから出てくると思う。
堅そうなレースで1着馬が不安定なレースを選択すれば良い事になる。
予想理論で言えば、期待値の高いレースを選んでレースに参加しろと言う事である。
口で言うのは簡単だが、期待値の高いレースはどんなレースなのだと言われても競馬の初心者にはとても判別はできないだろうと思う。
初心者は、やたらレースに参加する事を控えるだけでも、回収率はアップする筈である。

こんな事は昔から言われてきたし、競馬の常識(セオリー)でもある。
セオリーを知っていても実行できるかと言うと、なかなか自制する事は難しいものである。
私自身、今もって参加すべきではないレースに参加して苦い思いをする事がやたら多い。
その結果、儲けるどころか損をしないで競馬を続ける事にさえ四苦八苦している状態である。