(15)騎手が競走馬に与える影響

騎手の技術レベルによってレース結果が変わる事はよく知られております。
競馬は馬6割に騎手4割とか、馬7割に騎手3割とかよく耳にします。
競馬を予想する場合も騎手が誰かによって、予想が変わってこなければならないと思います。
オッズも騎手によって人気がかなり変動するようです。
いったい騎手はどの程度競走馬に影響を与えるのでしょうか。
そして、それはどんな影響によるものなのでしょうか。

騎手のデータを調べると面白い事に気がつくと思います。
血液型がO型の騎手がなぜか多いのです。
日本人の血液型はA型が圧倒的に多いのですからちょっと奇異な感じがします。
武豊騎手や横山典弘騎手、藤田伸二騎手、和田竜二騎手、池添謙一騎手、小牧太騎手、佐藤哲三騎手等が該当するようです。
若手では、吉田隼人騎手や小島太一騎手、丹内 祐次騎手なんかでしょうか。
それがどうしたと言われても困るのですが、サッカー等でも司令塔と呼ばれる人の血液型はA型以外が多いようです。
血液型と性格や才能は無関係であると言うのが常識のようですが、騎手には特別な才能が必要であり、それが血液型に現れてくる事はないのでしょうか。

話がそれましたが、騎手と競走結果を単純に比較してレベルを比較するのは適当ではありません。
若手の騎手や人気の無い騎手は競走能力の低い馬に乗せられる事が多いですから、ことさらにデータ的に悪い結果が出ます。
それに、同じ馬に乗る場合でも、馬のもっとも調子の良い時に有力騎手が乗る場合がほとんどですから比較は難しくなります。
それを踏まえた上で、騎手が競走馬に与える影響を調べてみましょう。

まず、今まで勝てなかった馬が騎手が変わってから良い成績をあげるようになった例がないか調べてみましょう。
2006年度の勝率の良かった安藤勝己騎手を選んでみました。
同騎手が騎乗してから勝てるようになった馬がいないか調べてみました。
調べてみると、ランクの移動があったりで、はっきりした比較をするのはかなり困難です。
余り参考になるデータでは無いかもしれないと言う事は前もって申し上げておきます。

■タガノデンジャレスの場合

年月日場所レース名順位騎手名斤量距離・馬場タイム着差コーナー順上り馬体重
2006/08/20札幌札幌記念G214着岩田康誠57 芝2000m 良2.01.5 1.21-1-1-135.5458
2006/07/23函館函館記念HG39着岩田康誠56 芝2000m 稍2.06.4 1.39-7-6-540.1454
2006/04/22京都オースト1着安藤勝己56 芝1800m 良1.46.7-0.07-833.8460
2006/04/01阪神道頓堀S16001着安藤勝己57 芝1600m 良1.34.7-0.28-8-834.6464
2006/03/18阪神但馬SH16002着安藤勝己57 芝2000m 稍2.03.3 0.12-2-2-235.2464
2006/02/19東京アメジH16002着安藤勝己55 芝1800m 良1.47.6 0.211-14-1533.6464
2006/01/05京都初夢賞 10001着安藤勝己56 芝2200m 良2.15.2-0.24-4-3-334.6466
2005/12/04阪神Gブーツ10002着中舘英二57 芝2000m 良2.03.5 0.312-14-10-337.4456
2005/11/13京都ドンカH10005着安田康彦55 芝1800m 良1.46.5 0.212-1333.6460
2005/10/15京都北野特別100012着安田康彦55 芝2000m 稍2.01.6 2.07-8-7-836.1456
2005/09/25阪神甲東特H10006着横山典弘55 芝1600m 良1.35.5 0.811-9-834.4458
2005/05/07東京プリンシ9着安田康彦56 芝2000m 良2.02.1 0.99-7-734.7454
2005/04/17中山皐月賞 G111着安田康彦57 芝2000m 良2.00.4 1.218-18-17-1634.6450
2005/03/19阪神若葉S 2着安田康彦56 芝2000m 良2.00.4 0.111-11-11-1134.8448
2005/02/20京都つばき賞5001着安田康彦56 芝2000m 稍2.07.3-0.26-6-4-334.3452
2005/01/29京都こぶし賞5003着高田潤56 芝1600m 良1.35.6 0.83-335.8444
2005/01/10京都シンザンG36着安田康彦56 芝1600m 良1.36.5 0.84-435.2444
2004/12/18中京中京2歳2着安田康彦55 芝1800m 良1.47.8 0.19-11-7-434.8448
2004/12/04阪神未勝利1着安藤勝己55 芝2000m 良2.04.2-0.03-3-4-434.8450
2004/11/20京都未勝利2着高田潤55 芝1600m 良1.37.3 0.74-436.2452
2004/10/30京都新馬4着安藤勝己55 芝1200m 良1.10.6 0.411-1035.0456
確かに安藤騎手が乗ったときは好走しているような感じがします。
更によく見てみると、馬のタイムが格別良くなったのでは無さそうです。
馬の乗り方を見てみると先行してみたり、後方から上がりに勝負を賭けたりしている事も判ります。
特にマクリ的な走らせかたをしていない事も目に付きます。
よく、馬を気持ちよく走らせると言う言い方がありますが、そんな騎乗をしているのでしょうか。

■スズカフェニックスの場合

年月日場所レース名順位騎手名斤量距離タイム着差コーナー順上り馬体重
2007/06/03東京安田記念G15着武豊58 芝1600m 良1.32.8 0.513-1234.3468
2007/03/25中京高松宮記G11着武豊57 芝1200m 重1.08.9-0.47-534.6464
2007/02/25阪神阪急杯 G33着武豊57 芝1400m 良1.20.5 0.012-1333.9462
2007/01/27東京東京新聞G31着武豊56 芝1600m 良1.32.7-0.111-1133.3460
2007/01/06京都京都金杯HG35着幸英明56 芝1600m 稍1.34.2 0.312-1234.4464
2006/10/21東京富士S G33着武豊56 芝1600m 良1.32.9 0.117-1533.3462
2006/10/07京都夕刊フH16001着武豊57 芝1800m 良1.46.1-0.36-633.6466
2006/09/09中京朝日チャG34着武豊56 芝2000m 良1.57.6 0.210-12-12-1134.0460
2006/08/12札幌札幌日刊16003着安藤勝己57 芝1500m 良1.29.0 0.39-9-933.4460
2006/07/29函館HTBH10001着安藤勝己57 芝2000m 良2.01.5-0.26-6-4-236.5460
2006/06/17京都洛南特別5001着武豊57 芝1600m 良1.34.4-0.82-234.7456
2006/06/03東京葉山特別10002着武豊57 芝1600m 良1.33.9 0.04-534.3456
2006/05/06東京金峰山特10003着蛯名正義57 芝1600m 良1.33.9 0.15-534.4456
2005/07/30函館HTB杯10003着蛯名正義54 芝2000m 良2.03.4 0.16-6-3-237.8446
2005/07/10函館陸奥湾特5001着蛯名正義54 芝2000m 稍2.08.8-0.44-4-3-138.7444
2005/02/05京都未勝利1着武豊56 ダ1200m 良1.14.0-0.06-536.4450
2005/01/23京都未勝利2着武豊56 ダ1400m 良1.25.6 0.11-137.7454
2004/10/10京都新馬9着武豊55 ダ1400m 重1.29.5 4.49-938.7452
こちらは、レースのランクも異なりますし、単純に比較はできないと思いますが傾向は感じる事ができると思います。
トップジョッキーが3人騎乗していますが、特に武豊騎手だけが勝っていると言う印象はないと思います。
それぞれの騎手がほどよく勝ち、ほどよく負けているのが判ると思います。
この馬の場合は余り騎手同士の差は見つけられないと結論しておきましょう。

■ナムラマースの場合

年月日場所レース名順位騎手名斤量距離タイム着差コーナー順上り馬体重
2007/05/27東京東京優駿G18着藤岡佑介57芝2400m 良2.25.6 1.112-14-14-1633.5456
2007/04/15中山皐月賞 G111着藤岡佑介57芝2000m 良2.00.8 0.913-14-13-1434.7462
2007/03/24阪神毎日杯 G31着藤岡佑介57芝1800m 稍1.48.0-0.28-934.0458
2007/02/11京都きさらぎG32着ペリエ 57芝1800m 良1.49.1 0.35-433.9454
2006/12/23阪神ラジオNIG33着ペリエ 55芝2000m 良2.02.3 0.25-4-4-335.0448
2006/09/30札幌札幌2歳G31着藤岡佑介54芝1800m 良1.49.7-0.16-4-6-535.1454
2006/09/09札幌コスモス1着藤岡佑介54芝1800m 良1.48.4-0.65-4-3-335.8448
2006/08/19札幌未勝利1着安藤勝己54芝1800m 良1.50.3-0.82-2-2-135.1444
2006/08/06函館未勝利2着安藤勝己54芝1200m 良1.11.8 0.82-236.5440
2006/07/23函館未勝利2着池添謙一54芝1200m 重1.13.9 0.12-238.4438
2006/07/01函館未勝利2着池添謙一54芝1200m 良1.10.7 0.13-335.9438
2006/06/18函館新馬5着本田優 54 芝1200m 良1.12.3 1.64-337.6442
ナムラマースは私の注目馬の1頭でもあり、ラジオNIKKEI杯ではフサイチホウオーに次いで2番人気になった馬です。
(残念ながら最近は力の限界が見えてきたようで、GTレースではやや苦しいようだと感じてしまいます。)
馬のレベルがかなり高いからと思いますが、20歳の藤岡佑介騎手でもしっかりと勝ちきれる事を示しています。
最近のレースで言えば、例えばダービーに安藤勝己騎手がのればもっと良い成績になるのではと思われるかも知れませんが、ダービー後の函館記念(GV)で秋山騎手が乗って6着だったのを見ると力の限界と考えるのが自然でしょう。

前にも書いたような気がしますが、ディープインパクトに武豊騎手が乗らないと勝てないのではなく、恐らくどの騎手が乗っても楽勝すると思います。
ただ、馬のレベル差の少ないレースの場合に、騎手のレベル差が関係してくるのではないかと考えています。
要は、レース中の微妙な流れを感じ取ってそれに対応できるのかどうか、馬と折り合いよく走らせる事ができるのかにかかってくると思います。

■騎手が競走馬に与える影響の結論

あくまで私の個人的な結論ですが、それほど決定的な影響は与えないと考えています。
極論すれば、トップジョッキーと一般的な騎手との差は、騎乗ミスが多いか少ない程度の差ではないかと思っています。
ただ、ほんの少しでも騎乗ミスを犯したりすると、調教師の信頼を失って勝てそうな馬にはなかなか乗せて貰えないかもしれません。
これが悪循環になって、勝てない騎手は何時になっても勝てない状態が続くのではないでしょうか。
レース結果を騎手と馬だけで判断(予想)するのは無謀な事だと思っていますが、敢えて言うなら馬80%に騎手20%の影響度ではないかと考えています。
但し障害競走だけは例外で、このレースの場合は騎手の影響力は3〜4割はありそうだと思っております。