前文
日本国民にほんこくみんは、正当せいとう選挙せんきょされた国会こっかいにおける代表者だいひょうしゃつうじて行動こうどうし、われらとわれらの子孫しそんのために、諸国民しょこくみんとの協和きょうわによる成果せいかと、わが国全土くにぜんどにわたつて自由じゆうのもたらす恵沢けいたく確保かくほし、政府せいふ行為こういによつてふたたび戦争せんそう惨禍さんかおこることのないうにすることを決意けついし、ここに主権しゅけん国民こくみんそんすることを宣言せんげんし、この憲法けんぽう確定かくていする。そもそも国政こくせいは、国民こくみん厳粛げんしゅく信託しんたくによるものであつて、その権威けんい国民こくみん由来ゆらいし、その権力けんりょく国民こくみん代表者だいひょうしゃがこれを行使こうしし、その福利ふくり国民こくみんがこれを享受きょうじゅする。これは人類普遍じんるいふへん原理げんりであり、この憲法けんぽうは、かかる原理げんりもとづくものである。われらは、これにはんする一切いっさい憲法けんぽう法令ほうれいおよ詔勅しょうちょく排除はいじょする。
 日本国民にほんこくみんは、恒久こうきゅう平和へいわ念願ねんがんし、人間にんげん相互そうご関係かんけい支配しはいする崇高すうこう理想りそうふか自覚じかくするのであつて、平和へいわあいする諸国民しょこくみん公正こうせい信義しんぎ信頼しんらいして、われらの安全あんぜん生存せいぞん保持ほじしようと決意けついした。われらは、平和へいわ維持いじし、専制せんせい隷従れいじゅう圧迫あっぱく偏狭へんきょう地上ちじょうから永遠えいえん除去じょきょしようとつとめて国際社会こくさいしゃかいにおいて、名誉めいよある地位ちいめたいとおも。われらは、全世界ぜんせかい国民こくみんが、ひとしく恐怖きょうふ欠乏けつぼうからまぬかれ、平和へいわのうちに生存せいぞんする権利けんりゆうすることを確認かくにんする。
 われらは、いれの国家こっかも、自国じこくのことのみに専念せんねんして他国たこく無視むししてはならないのであつて、政治道徳せいじどうとく法則ほうそくは、普遍的ふへんてきなものであり、この法則ほうそくしたがふことは、自国じこく主権しゅけん維持いじし、他国たこく対等関係たいとうかんけいうとする各国かっこく責務せきむであるとしんずる。
 日本国民にほんこくみんは、国家こっか名誉めいよにかけ、全力ぜんりょくをあげてこの崇高すうこう理想りそう目的もくてき達成たっせいすることをちか





第一章 天皇てんのう
第1条【天皇の地位・国民主権】
 天皇てんのうは、日本国にっぽんこく象徴しょうちょうであり日本国民にっぽんこくみん統合とうごう象徴しょうちょうであつて、この地位ちいは、主権しゅけんそんする日本国民にっぽんこくみん総意そういもとづく。

第2条【皇位の世襲】
 皇位こういは、世襲せしゅうのものであつて、国会こっかい議決ぎけつした皇室典範こうしつてんぱんさだめるところにより、これを継承けいしょうする。

第3条【天皇の国事行為に対する内閣の助言承認と責任】
 天皇てんのう国事こくじかんするすべての行為こういには、内閣ないかく助言じょげん承認しょうにん必要ひつようとし、内閣ないかくが、その責任せきにん

第4条【天皇の権限の限界、天皇の国事行為の委任】
天皇てんのうは、この憲法けんぽうさだめる国事こくじかんする行為こういのみをおこな国政こくせいかんする権能けんのうゆうしない。
天皇てんのうは、法律ほうりつさだめるところにより、その国事こくじかんする行為こうい委任いにんすることができる。

第5条【摂政】
 皇室典範こうしつてんぱんさだめるところにより摂政せっしょうくときは、摂政せっしょうは、天皇てんのうでその国事こくじかんする行為こういおこな。 この場合ばあいには、前条ぜんじょう第1項の規定きてい準用じゅんようする。





第6条【天皇の国事行為】
天皇てんのうは、国会こっかい指名しめいもとづいて、内閣総理大臣ないかくそうりだいじん任命にんめいする。
天皇てんのうは、内閣ないかく指名しめいもとづいて、最高裁判所さいこうさいばんしょちょうたる裁判官さいばんかん任命にんめいする。

第7条【天皇の国事行為】
天皇てんのうは、内閣ないかく助言じょげん承認しょうにんにより、国民こくみんのために、国事こくじかんする行為こういおこな
憲法改正けんぽうかいせい法律ほうりつ政令せれいおよ条約じょうやく公布こうふすること。
国会こっかい召集しょうしゅうすること。
衆議院しゅうぎいん解散かいさんすること。
国会議員こっかいぎいん総選挙そうせんきょ施行しこう公示こうじすること。
国務大臣こくむだいじんおよ法律ほうりつさだめるその官吏かんり任免にんめんならびに全権委任状ぜんけんいにんじょう及び大使たいし及び公使こうし信任状しんにんじょう認証にんしょうすること。
大赦たいしゃ特赦とくしゃ減刑げんけいけい執行しっこう免除めんじょおよ復権ふっけん認証にんしょうすること。
栄典えいてん授与じゅよすること。
批准書ひじゅんしょ及び法律ほうりつさだめるその外交文書がいこうぶんしょ認証にんしょうすること。
外国がいこく大使たいし及び公使こうし接受せつじゅすること。
儀式ぎしきおこなこと。

第8条【皇室の財産授受】
 皇室こうしつ財産ざいさんゆずわたし、また皇室こうしつが、財産ざいさんゆずけ、しくは賜与しよすることは、国会こっかい議決ぎけつもとづかなければならない。





第二章 戦争せんそう放棄ほうき
第9条【戦争の放棄、軍備不保持、交戦権否認】
日本国民にっぽんこくみんは、正義せいぎ秩序ちつじょ基調きちょうとする国際平和こくさいへいわ誠実せいじつ希求ききゅうし、国権こっけん発動はつどうたる戦争せんそうと、武力ぶりょくによる威嚇いかくまた武力ぶりょく行使こうしは、国際紛争こくさいふんそう解決かいけつする手段しゅだんとしては、永久えいきゅうにこれを放棄ほうきする。
前項ぜんこう目的もくてきたっするため、陸海空軍りくかいくうぐんその戦力せんりょくは、これを保持ほじしない。くに交戦権こうせんけんは、これをみとめない。

第三章 国民こくみん権利けんりおよ義務ぎむ
第10条【日本国民の要件】
日本国民にっぽんこくみんたる要件ようけんは、法律ほうりつでこれをさだめる。

第11条【基本的人権の享有】
国民こくみんは、すべての基本的人権きほんてきじんけん享有きょうゆうさまたげられない。この憲法けんぽう国民こくみん保障ほしょうする基本的人権きほんてきじんけんは、おかすことのできない永久えいきゅう権利けんりとして、現在げんざいおよ将来しょうらい国民こくみんあたられる。

第12条【自由・権利の保持・濫用の禁止】
この憲法けんぽう国民こくみん保障ほしょうする自由じゆう及び権利けんりは、国民こくみん不断ふだん努力どりょくによつて、これを保持ほじしなければならない。また国民こくみんは、これを濫用らんようしてはならないのであつて、つね公共こうきょう福祉ふくしのためにこれを利用りようする責任せきにん





第13条【個人の尊重・幸福追求権・公共の福祉】
すべて国民こくみんは、個人こじんとして尊重そんちょうされる。生命せいめい自由じゆう及び幸福追求こうふくついきゅうたいする国民こくみん権利けんりについては、公共こうきょう福祉ふくしはんしないかぎり、立法りっぽうその国政こくせいうえで、最大さいだい尊重そんちょう必要ひつようとする。

第14条【法の下の平等・貴族の禁止・栄典の授与】
①すべて国民こくみんは、ほうもと平等びょうどうであつて、人種じんしゅ信条しんじょう性別せいべつ社会的身分しゃかいてきみぶんまた門地もんちにより、政治的せいじてき経済的けいざいてき又は社会的関係しゃかいてきかんけいにおいて、差別さべつされない。
華族かぞくその貴族きぞく制度せいどは、これをみとめない。
栄誉えいよ勲章くんしょうその栄典えいてん授与じゅよは、いかなる特権とっけんともなはない。栄典えいてん授与じゅよは、げんにこれをゆうし、また将来しょうらいこれをけるもの一代いちだいかぎり、その効力こうりょくゆうする。

第15条【公務員選定罷免権・公務員・普通選挙・秘密投票】
公務員こうむいん選定せんていし、およびこれを罷免ひめんすることは、国民固有こくみんこゆう権利けんりである。
②すべて公務員こうむいんは、全体ぜんたい奉仕者ほうししゃであつて、一部いちぶ奉仕者ほうししゃではない。
公務員こうむいん選挙せんきょについては、成年者せいねんしゃによる普通選挙ふつうせんきょ保障ほしょうする。
④すべて選挙せんきょにおける投票とうひょう秘密ひみつは、これをおかしてはならない。選挙人せんきょにんは、その選択せんたくかん公的こうてきにも私的してきにも責任せきにんれない。

第16条【請願権】
何人なんぴとも、損害そんがい救済きゅうさい公務員こうむいん罷免ひめん法律ほうりつ命令めいれい又は規則きそく制定せいてい廃止はいし又は改正かいせいその事項じこうかんしし、平穏へいおん請願せいがんする権利けんりゆうし、何人なんぴとも、かかる請願せいがんをしたためにいかなる差別待遇さべつたいぐうけない。



第17条【国・公共団体の賠償責任】
何人なんぴとも、公務員こうむいん不法行為ふほうこういにより、損害そんがいけたときは、法律ほうりつさだめるところにより、くに又は公共団体こうきょうだんたいに、その賠償ばいしょうもとめることができる。

第18条【奴隷的拘束・苦役からの自由】
何人なんぴとも、いかなる奴隷的どれいてき拘束こうそくけない。また犯罪はんざい処罰しょばつ場合ばあいのぞいては、そのはんする苦役くえきふくさせられない。

第19条【思想・良心の自由】
思想しそうおよ良心りょうしん自由じゆうは、これをおかしてはならない。

第20条【信教の自由】
信教しんきょう自由じゆうは、何人なんぴとたいしてもこれを保障ほしょうする。いかなる宗教団体しゅうきょうだんたいも、くにから特権とっけんけ、また政治上せいじじょう権力けんりょく行使こうししてはならない。
何人なんぴとも、宗教上しゅうきょうじょう行為こうい祝典しゅくてん儀式ぎしきまた行事ぎょうじ参加さんかすることを強制きょうせいされない。
くにおよびその機関きかんは、宗教教育しゅうきょうきょういくそのいかなる宗教的活動しゅうきょうてきかつどうもしてはならない。

第21条【集会・結社・表現の自由】
集会しゅうかい結社けっしゃ及び言論げんろん出版しゅっぱんその一切いっさい表現ひょうげん自由じゆうは、これを保障ほしょうする。
検閲けんえつは、これをしてはならない。通信つうしん秘密ひみつは、これをおかしてはならない。




第22条【居住・移転・職業選択の自由、外国移住・国籍離脱の自由】
何人なんぴとも、公共こうきょう福祉ふくしはんしないかぎり、居住きょじゅう移転いてんおよ職業選択しょくぎょうせんたく自由じゆうゆうする。
何人なんぴとも、外国がいこく移住いじゅうし、また国籍こくせき離脱りだつする自由じゆうおかされない。

第23条【学問の自由】
学問がくもん自由じゆうは、これを保障ほしょうする。

第24条【家族生活における個人の尊厳と両性の平等】
婚姻こんいんは、両性りょうせい合意ごういのみにもとづいて成立せいりつし、夫婦ふうふ同等どうとう権利けんりゆうすることを基本きほんとして、相互そうご協力きょうりょくにより、維持いじされなければならない。
配偶者はいぐうしゃ選択せんたく財産権ざいさんけん相続そうぞく住居じゅうきょ選定せんてい離婚りこんならびに婚姻こんいんおよ家族かぞくかんするその事項じこうかんしては、法律ほうりつは、個人こじん尊厳そんげん両性りょうせい本質的ほんしつてき平等びょうどう立脚りっきゃくして、制定せいていされなければならない。

第25条【生存権】
①すべて国民こくみんは、健康けんこう文化的ぶんかてき最低限度さいていげんど生活せいかついとな権利けんりゆうする。
くには、すべての生活部面せいかつぶめんについて、社会福祉しゃかいふくし社会保障しゃかいほしょう及び公衆衛生こうしゅうえいせい向上こうじょう及び増進ぞうしんつとめなければならない。

第26条【教育を受ける権利・教育を受けさせる義務】
①すべて国民こくみんは、法律ほうりつさだめるところにより、その能力のうりょくおうじて、ひとしく教育きょういくける権利けんりゆうする。
②すべて国民こくみんは、法律ほうりつさだめるところにより、その保護ほごする子女しじょ普通教育ふつうきょういくけさせる義務ぎむふ。義務教育ぎむきょういくは、これを無償むしょうとする。



第27条【勤労の権利義務・勤労条件の基準・児童酷使の禁止】
①すべて国民こくみんは、勤労きんろう権利けんりゆうし、義務ぎむふ。
賃金ちんぎん就業時間しゅうぎょうじかん休息きゅうそくその勤労条件きんろうじょうけんかんする基準きじゅんは、法律ほうりつでこれをさだめる。
児童じどうは、これを酷使こくししてはならない。

第28条【勤労者の団結権】
勤労者きんろうしゃ団結だんけつする権利けんり及び団体交渉だんたいこうしょうその団体行動だんたいこうどうをする権利けんりは、これを保障ほしょうする。

第29条【財産権】
財産権ざいさんけんは、これをおかしてはならない。
財産権ざいさんけん内容ないようは、公共こうきょう福祉ふくし適合てきごうするやうに、法律ほうりつでこれをさだめる。
私有財産しゆうざいさんは、正当せいとう補償ほしょうもとに、これを公共こうきょうのためにもちることができる。

第30条【納税の義務】
国民こくみんは、法律ほうりつさだめるところにより、納税のうぜい義務ぎむふ。

第31条【法定手続の保障】
何人なんぴとも、法律ほうりつさだめる手続てつづきによらなければ、その生命せいめいしくは自由じゆううばはれ、またはその刑罰けいばつせられない。





第32条【裁判を受ける権利】
何人なんぴとも、裁判所さいばんしょにおいて裁判さいばんける権利けんりうばはれない。

第33条【逮捕の要件】
何人なんぴとも、現行犯げんこうはんとして逮捕たいほされる場合ばあいのぞいては、権限けんげんゆうする司法官憲しほうかんけんはっし、理由りゆうとなつて犯罪はんざい明示めいじする令状れいじょうによらなければ、逮捕たいほされない。

第34条【抑留・拘禁の要件、不法拘禁に対する保障】
何人なんぴとも、理由りゆうただちちにげられ、つ、ただちちに弁護人べんごにん依頼いらいする権利けんりあたられなければ、抑留よくりゅうまた拘禁こうきんされない。また何人なんぴとも、正当せいとう理由りゆうがなければ、拘禁こうきんされず、要求ようきゅうがあれば、その理由りゆうは、ただちに本人ほんにんおよびその弁護人べんごにん出席しゅっせきする公開こうかい法廷ほうていしめされなければならない。

第35条【住居の不可侵】
何人なんぴとも、その住居じゅうきょ書類しょるいおよ所持品しょじひんについて、侵入しんにゅう捜索そうさくおよ押収おうしゅうけることのない権利けんりは、第33条の場合ばあいのぞいては、正当せいとう理由りゆうもとづいてはっせられ、捜索そうさくする場所ばしょおよ押収おうしゅうするもの明示めいじする令状れいじょうがなければ、おかされない。
捜索そうさく又は押収おうしゅうは、権限けんげんゆうする司法しほう官憲かんけんはっする各別かくべつ令状れいじょうにより、これをおこな

第36条【拷問および残虐な刑罰の禁止】
公務員こうむいんによる拷問ごうもん及び残虐ざんぎゃく刑罰けいばつは、絶対ぜったいにこれをきんずる。




第37条【刑事被告人の権利】
①すべて刑事けいじ事件じけんにおいては、被告人ひこくにんは、公平こうへいな裁判所さいばんしょ迅速じんそく公開こうかい裁判さいばんける権利けんりゆうする。
刑事けいじ被告人ひこくにんは、すべての証人しょうにんたいして審問しんもんする機会きかい充分じゅうぶんあたられ、また公費こうひ自己じこのために強制的きょうせいてき手続てつづきにより証人しょうにんもとめる権利けんりゆうする。
刑事けいじ被告人ひこくにんは、いかなる場合ばあいにも、資格しかくゆうする弁護人べんごにん依頼いらいすることができる。被告人ひこくにんみずからこれを依頼いらいすることができないときは、くにでこれをする。

第38条【自己に不利益な供述・自白の証拠能力】
何人なんぴとも、自己じこ不利益ふりえき供述きょうじゅつ強要きょうようされない。
強制きょうせい拷問ごうもんしくは脅迫きょうはくによる自白じはく又は不当ふとうなが抑留よくりゅうしくは拘禁こうきんされたのち自白じはくは、これを証拠しょうことすることができない。
何人なんぴとも、自己じこ不利益ふりえき唯一ゆいいつ証拠しょうこ本人ほんにん自白じはくである場合ばあいには、有罪ゆうざいとされ、また刑罰けいばつせられない。

第39条遡及そきゅう処罰の禁止・一事不再理】
何人なんぴとも、実行じっこうとき適法てきほうであつた行為こうい又はすで無罪むざいとされた行為こういについては、刑事上けいじじょう責任せきにんれない。また同一どういつ犯罪はんざいについて、かさねて刑事上けいじじょう責任せきにんれない。

第40条【刑事補償】
何人なんぴとも、抑留よくりゅう又は拘禁こうきんされたのち無罪むざい裁判さいばんけたときは、法律ほうりつさだめるところにより、くににその補償ほしょうもとめることができる。



第四章 国会こっかい
第41条【国会の地位・立法権】
国会こっかいは、国権こっけん最高機関さいこうきかんであつて、くに唯一ゆいいつ立法機関りっぽうきかんである。

第42条【両院制】
国会こっかいは、衆議院しゅうぎいん及び参議院さんぎいん両議院りょうぎいんでこれを構成こうせいする。

第43条【両議院の組織・国民代表】
両議院りょうぎいんは、全国民ぜんこくみん代表だいひょうする選挙せんきょされた議員ぎいんでこれを組織そしきする。
両議院りょうぎいん議員ぎいん定数ていすうは、法律ほうりつでこれをさだめる。

第44条【議員及び選挙人の資格】
両議院りょうぎいん議員ぎいん及びその選挙人せんきょにん資格しかくは、法律ほうりつでこれをさだめる。ただし、人種じんしゅ信条しんじょう性別せいべつ社会的身分しゃかいてきみぶん門地もんち教育きょういく財産ざいさん又は収入しゅうにゅうによつて差別さべつしてはならない。

第45条【衆議院議員の任期】
衆議院議員しゅうぎいんぎいん任期にんきは、4年よねんとする。ただし、衆議院しゅうぎいん解散かいさん場合ばあいには、その期間きかん満了前まんりょうぜん終了しゅうりょうする。

第46条【参議院議員の任期】
参議院議員さんぎいんぎいん任期にんきは、6年ろくねんとし、3年さんねんごとに議員ぎいん半数はんすう改選かいせんする。





第47条【選挙に関する事項】
選挙区せんきょく投票とうひょう方法ほうほうその両議院りょうぎいん議員ぎいん選挙せんきょかんする事項じこうは、法律ほうりつでこれをさだめる。

第48条【両議院議員兼職】
何人なんぴとも、同時どうじ両議院りょうぎいん議員ぎいんたることはできない。

第49条【国会議員の歳費】
両議院りょうぎいん議員ぎいんは、法律ほうりつさだめるところにより、国庫こっこから相当額そうとうがく歳費さいひける。

第50条【国会議員の不逮捕特権】
両議院りょうぎいん議員ぎいんは、法律ほうりつさだめる場合ばあいのぞいては、国会こっかい会期中かいきちゅう逮捕たいほされず、会期かいきぜん逮捕たいほされた議員ぎいんは、その議院ぎいん要求ようきゅうがあれば、会期中かいきちゅうこれを釈放しゃくほうしなければならない。

第51条【国会議員の発言表決の無責任】
両議院りょうぎいん議員ぎいんは、議院ぎいんおこなつた演説えんぜつ討論とうろん又は表決ひょうけつについて、院外いんがい責任せきにんれない。

第52条【常会】
国会こっかい常会じょうかいは、毎年まいねん1回いっかいこれを召集しょうしゅうする。





第53条【臨時会】
内閣ないかくは、国会こっかい臨時会りんじかい召集しょうしゅう決定けっていすることができる。いれかの議院ぎいん総議員そうぎいん4分よんぶんいち以上いじょう要求ようきゅうがあれば、内閣ないかくは、その召集しょうしゅう決定けっていしなければならない。

第54条【衆議院の解散と特別会・参議院の緊急集会】
衆議院しゅうぎいん解散かいさんされたときは、解散かいさんから40日よんじゅうにち以内いないに、衆議院議員しゅうぎいんぎいん総選挙そうせんきょおこな、その選挙せんきょから30日さんじゅうにち以内いないに、国会こっかい召集しょうしゅうしなければならない。
衆議院しゅうぎいん解散かいさんされたときは、参議院さんぎいんは、同時どうじ閉会へいかいとなる。ただし、内閣ないかくは、くに緊急きんきゅう必要ひつようがあるときは、参議院さんぎいん緊急集会きんきゅうしゅうかいもとめることができる。
前項ぜんこう但書ただしがき緊急集会きんきゅうしゅうかいにおいてられた措置そちは、臨時りんじのものであつて、つぎ国会開会こっかいかいかいのち10日とおか以内いないに、衆議院しゅうぎいん同意どういがない場合ばあいには、その効力こうりょくうしな

第55条【資格争訟の裁判】
両議院りょうぎいんは、各々おのおのその議員ぎいん資格しかくかんする争訟そうしょう裁判さいばんする。ただし、議員ぎいん議席ぎせきうしなせるには、出席しゅっせき議員ぎいん3分さんぶん以上いじょう多数たすうによる議決ぎけつ必要ひつようとする。








第56条【定足数・表決の過半数主義】
両議院りょうぎいんは、各々おのおのその総議員そうぎいん3分さんぶんいち以上いじょう出席しゅっせきがなければ、議事ぎじひらき議決ぎけつすることができない。
両議院りょうぎいん議事ぎじは、この憲法けんぽう特別とくべつさだめのある場合ばあいのぞいては、出席しゅっせき議員ぎいん過半数かはんすうでこれをけっし、可否かひ同数どうすうのときは、議長ぎちょうけっするところによる。

第57条【会議の公開・会議録】
両議院りょうぎいん会議かいぎは、公開こうかいとする。ただし、出席議員しゅっせきぎいん3分さんぶん以上いじょう多数たすう議決ぎけつしたときは、秘密会ひみつかいひらくくことができる。
両議院りょうぎいんは、各々おのおのその会議かいぎ記録きろく保存ほぞんし、秘密会ひみつかい記録きろくなかとく秘密ひみつようするとみとめられるもの以外いがいは、これを公表こうひょうし、かつ一般いっぱん頒布はんぷしなければならない。
出席議員しゅっせきぎいん5分ごぶんいち以上いじょう要求ようきゅうがあれば、かく議員ぎいん表決ひょうけつは、これを会議録かいぎろく記載きさいしなければならない。

第58条【役員選任・議院規則・除名】
両議院りょうぎいんは、各々おのおのその議長ぎちょうその役員やくいん選任せんにんする。
両議院りょうぎいんは、各々おのおのその会議かいぎその手続てつづき及び内部ないぶ規律きりつかんする規則きそくさだめ、また院内いんない秩序ちつじょをみだした議員ぎいん懲罰ちょうばつすることができる。ただし、議員ぎいん除名じょめいするには、出席しゅっせき議員ぎいん3分さんぶん以上いじょう多数たすうによる議決ぎけつ必要ひつようとする。





第59条【法律案の議決・衆議院の優越】
法律案ほうりつあんは、この憲法けんぽう特別とくべつさだめのある場合ばあいのぞいては、両議院りょうぎいん可決かけつしたとき法律ほうりつとなる。
衆議院しゅうぎいん可決かけつし、参議院さんぎいんでこれとことなつた議決ぎけつをした法律案ほうりつあんは、衆議院しゅうぎいん出席しゅっせき議員ぎいん3分さんぶん以上いじょう多数たすうふたた可決かけつしたときは、法律ほうりつとなる。
前項ぜんこう規定きていは、法律ほうりつさだめるところにより、衆議院しゅうぎいんが、両議院りょうぎいん協議会きょうぎかいひらくことをもとめることをさまたげない。
参議院さんぎいんが、衆議院しゅうぎいん可決かけつした法律案ほうりつあんつたのち国会こっかい休会きゅうかいちゅう期間きかんのぞいて60にち以内いないに、議決ぎけつしないときは、衆議院しゅうぎいんは、参議院さんぎいんがその法律案ほうりつあん否決ひけつしたものとみなすことができる。

第60条【衆議院の予算先議・予算議決の衆議院の優越】
予算よさんは、さきに衆議院しゅうぎいん提出ていしゅつしなければならない。
予算よさんについて、参議院さんぎいん衆議院しゅうぎいんことなつた議決ぎけつをした場合ばあいに、法律ほうりつさだめるところにより、両議院りょうぎいん協議会きょうぎかいひらいても意見いけん一致いっちしないとき、また参議院さんぎいんが、衆議院しゅうぎいん可決かけつした予算よさんつたのち国会こっかい休会中きゅうかいちゅう期間きかんのぞいて30日以内いないに、議決ぎけつしないときは、衆議院しゅうぎいん議決ぎけつ国会こっかい議決ぎけつとする。

第61条【条約の承認に関する衆議院の優越】
条約じょうやく締結ていけつ必要ひつよう国会こっかい承認しょうにんについては、前条ぜんじょう第2項だいにこう規定きてい準用じゅんようする。





第62条【両議院の国政調査権】
両議院りょうぎいんは、各々おのおの国政こくせいかんする調査ちょうさおこなひ、これにかんして、証人しょうにん出頭しゅっとうおよ証言しょうげんならびに記録きろく提出ていしゅつ要求ようきゅうすることができる。

第63条【国務大臣の議院への出席】
内閣総理大臣ないかくそうりだいじんその国務大臣こくむだいじんは、両議院りょうぎいんひとつ議席ぎせきゆうするとゆうしないとにかからず、何時いつでも議案ぎあんについて発言はつげんするため議院ぎいん出席しゅっせきすることができる。また答弁とうべんまた説明せつめいのため出席しゅっせきもとめられたときは、出席しゅっせきしなければならない。

第64条【弾劾裁判所】
国会こっかいは、罷免ひめん訴追そついけた裁判官さいばんかん裁判さいばんするため、両議院りょうぎいん議員ぎいん組織そしきする弾劾だんがい裁判所さいばんしょもうける。
弾劾だんがいかんする事項じこうは、法律ほうりつでこれをさだめる。

第五章 内閣ないかく
第65条【行政権】
行政権ぎょうせいけんは、内閣ないかくぞくする。

第66条【内閣の組織・国会に対する連帯責任】
内閣ないかくは、法律ほうりつさだめるところにより、その首長しゅちょうたる内閣ないかく総理大臣そうりだいじん及びその国務こくむ大臣だいじんでこれを組織そしきする。
内閣総理大臣ないかくそうりだいじんその国務こくむ大臣だいじんは、文民ぶんみんでなければならない。
内閣ないかくは、行政権ぎょうせいけん行使こうしについて、国会こっかいたい連帯れんたいして責任せきにん




第67条【内閣総理大臣の指名・衆議院の優越】
内閣総理大臣ないかくそうりだいじんは、国会こっかい議員ぎいんなかから国会こっかい議決ぎけつで、これを指名しめいする。この指名しめいは、のすべての案件あんけんさきだつて、これをおこな
衆議院しゅうぎいん参議院さんぎいんとがことなつた指名しめい議決ぎけつをした場合ばあいに、法律ほうりつさだめるところにより、両議院りょうぎいん協議会きょうぎかいひらいても意見いけん一致いっちしないとき、また衆議院しゅうぎいん指名しめい議決ぎけつをしたのち国会こっかい休会きゅうかいちゅう期間きかんのぞいて10日とおか以内いないに、参議院さんぎいんが、指名しめい議決ぎけつをしないときは、衆議院しゅうぎいん議決ぎけつ国会こっかい議決ぎけつとする。

第68条【国務大臣の任命・罷免】
内閣総理大臣ないかくそうりだいじんは、国務こくむ大臣だいじん任命にんめいする。ただし、その過半数かはんすうは、国会こっかい議員ぎいんなかからえらばれなければならない。
内閣総理大臣ないかくそうりだいじんは、任意にんい国務こくむ大臣だいじん罷免ひめんすることができる。

第69条【内閣不信任決議の効果】
内閣ないかくは、衆議院しゅうぎいん不信任ふしんにん決議案けつぎあん可決かけつし、また信任しんにん決議案けつぎあん否決ひけつしたときは、10日とおか以内いない衆議院しゅうぎいん解散かいさんされないかぎり、総辞職そうじしょくをしなければならない。

第70条【内閣総理大臣が欠けたとき・新国会召集と内閣の総辞職】
内閣総理大臣ないかくそうりだいじんけたとき、また衆議院議員総選挙しゅうぎいんぎいんそうせんきょのちはじめて国会こっかい召集しょうしゅうがあつたときは、内閣ないかくは、総辞職そうじしょくをしなければならない。





第71条【総辞職後の内閣】
前2条ぜんにじょう場合ばあいには、内閣ないかくは、あらたに内閣ないかく総理大臣そうりだいじん任命にんめいされるまでつづきその職務しょくむおこな

第72条【内閣総理大臣の職務】
内閣総理大臣ないかくそうりだいじんは、内閣ないかく代表だいひょうして議案ぎあん国会こっかい提出ていしゅつし、一般いっぱん国務こくむおよ外交がいこう関係かんけいについて国会こっかい報告ほうこくし、ならびに行政ぎょうせい各部かくぶ指揮しき監督かんとくする。

第73条【内閣の職務】
内閣ないかくは、一般いっぱん行政ぎょうせい事務じむほか事務じむおこな
法律ほうりつ誠実せいじつに執行しっこうし、国務こくむ総理そうりすること。
外交がいこう関係かんけい処理しょりすること。
条約じょうやく締結ていけつすること。ただし、事前じぜんに、時宜じぎによつては事後じごに、国会こっかい承認しょうにんることを必要ひつようとする。
法律ほうりつさだめる基準きじゅんしたが官吏かんりかんする事務じむ掌理しょうりすること。
予算よさん作成さくせいして国会こっかい提出ていしゅつすること。
六 この憲法けんぽうおよ法律ほうりつ規定きてい実施じっしするために、政令せいれい制定せいていすること。ただし、政令せいれいには、とくにその法律ほうりつ委任いにんがある場合ばあいのぞいては、罰則ばっそくもうけることができない。
大赦たいしゃ特赦とくしゃ減刑げんけいけい執行しっこう免除めんじょおよ復権ふっけん決定けっていすること。

第74条【法律および政令への署名】
法律ほうりつおよ政令せいれいには、すべて主任しゅにん国務こくむ大臣だいじん署名しょめいし、内閣総理大臣ないかくそうりだいじん連署れんしょすることを必要ひつようとする。




第75条【国務大臣訴追の内閣総理大臣の同意】
国務こくむ大臣だいじんは、その在任ざいにんちゅう内閣ないかく総理大臣そうりだいじん同意どういがなければ、訴追そついされない。ただし、これがため、訴追そつい権利けんりは、がいされない。

第六章 司法しほう
第76条【司法権の所属・特別裁判所の禁止・裁判官の独立】
①すべて司法権しほうけんは、最高裁判所さいこうさいばんしょおよ法律ほうりつさだめるところにより設置せっちする下級かきゅう裁判所さいばんしょぞくする。
特別裁判所とくべつさいばんしょは、これを設置せっちすることができない。行政ぎょうせい機関きかんは、終審しゅうしんとして裁判さいばんおこなことができない。
③すべて裁判官さいばんかんは、その良心りょうしんしたが独立どくりつしてその職権しょっけんおこな、この憲法けんぽうおよ法律ほうりつにのみ拘束こうそくされる。

第77条【最高裁判所の規則制定権】
最高裁判所さいこうさいばんしょは、訴訟そしょうかんする手続てつづき弁護士べんごし裁判所さいばんしょ内部ないぶ規律きりつおよ司法しほう事務じむ処理しょりかんする事項じこうについて、規則きそくさだめる権限けんげんゆうする。
検察官けんさつかんは、最高裁判所さいこうさいばんしょさだめる規則きそくしたがなければならない。
最高さいこう裁判所さいばんしょは、下級かきゅう裁判所さいばんしょかんする規則きそくさだめる権限けんげんを、下級かきゅう裁判所さいばんしょ委任いにんすることができる。

第78条【裁判官の身分保障】
裁判官さいばんかんは、裁判さいばんにより、心身しんしん故障こしょうのために職務しょくむることができないと決定けっていされた場合ばあいのぞいては、おおやけ弾劾だんがいによらなければ罷免ひめんされない。裁判官さいばんかん懲戒ちょうかい処分しょぶんは、行政ぎょうせい機関きかんがこれをおこなことはできない。




第79条【最高裁判所の裁判官】
最高裁判所さいこうさいばんしょは、そのちょうたる裁判官さいばんかんおよ法律ほうりつさだめる員数いんずうのその裁判官さいばんかんでこれを構成こうせいし、そのちょうたる裁判官さいばんかん以外いがい裁判官さいばんかんは、内閣ないかくでこれを任命にんめいする。
最高裁判所さいこうさいばんしょ裁判官さいばんかん任命にんめいは、その任命にんめいはじめておこなれる衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総選挙そうせんきょさい国民こくみん審査しんさし、その10年を経過けいかしたのちはじめておこなはれる衆議院しゅうぎいん議員ぎいん総選挙そうせんきょさいさら審査しんさし、その同様どうようとする。
前項ぜんこう場合ばあいにおいて、投票者とうひょうしゃ多数たすう裁判官さいばんかん罷免ひめんとするときは、その裁判官さいばんかんは、罷免ひめんされる。
審査しんさかんする事項じこうは、法律ほうりつでこれをさだめる。
最高裁判所さいこうさいばんしょ裁判官さいばんかんは、法律ほうりつさだめる年齢ねんれいたっしたとき退官たいかんする。
最高裁判所さいこうさいばんしょ裁判官さいばんかんは、すべて定期ていき相当額そうとうがく報酬ほうしゅうける。この報酬ほうしゅうは、在任中ざいにんちゅう、これを減額げんがくすることができない。

第80条【下級裁判所の裁判官・任期・定年・報酬】
下級かきゅう裁判所さいばんしょ裁判官さいばんかんは、最高裁判所さいこうさいばんしょ指名しめいしたもの名簿めいぼによつて、内閣ないかくでこれを任命にんめいする。その裁判官さいばんかんは、任期にんきを10年とし、再任さいにんされることができる。ただし、法律ほうりつさだめる年齢ねんれいたっしたときには退官たいかんする。
下級かきゅう裁判所さいばんしょ裁判官さいばんかんは、すべて定期ていき相当額そうとうがく報酬ほうしゅうける。この報酬ほうしゅうは、在任中ざいにんちゅう、これを減額げんがくすることができない。

第81条【法令審査権と最高裁判所】
最高裁判所さいこうさいばんしょは、一切いっさい法律ほうりつ命令めいれい規則きそくまた処分しょぶん憲法けんぽう適合てきごうするかしないかを決定けっていする権限けんげんゆうする終審しゅうしん裁判所さいばんしょである。



第82条【裁判の公開】
裁判さいばん対審たいしんおよ判決はんけつは、公開法廷こうかいほうていでこれをおこな
裁判所さいばんしょが、裁判官さいばんかん全員一致ぜんいんいっちで、おおやけ秩序ちつじょまた善良ぜんりょう風俗ふうぞくがいするおそれがあるとけっした場合ばあいには、対審たいしんは、公開こうかいしないでこれをおこなことができる。ただし、政治犯罪せいじはんざい出版しゅっぱんかんする犯罪はんざいまたはこの憲法けんぽう第3章だいさんしょう保障ほしょうする国民こくみん権利けんり問題もんだいとなつて事件じけん対審たいしんは、つねにこれを公開こうかいしなければならない。

第七章 財政ざいせい
第83条【財政処理の根本原則】
くに財政ざいせい処理しょりする権限けんげんは、国会こっかい議決ぎけつもとづいて、これを行使こうししなければならない。

第84条【租税法律主義】
あらたに租税そぜいし、また現行げんこう租税そぜい変更へんこうするには、法律ほうりつ又は法律ほうりつさだめる条件じょうけんによることを必要ひつようとする。

第85条【国費の支出・国庫債務負担】
国費こくひ支出ししゅつし、またくに債務さいむ負担ふたんするには、国会こっかい議決ぎけつもとづくことを必要ひつようとする。

第86条【予算の作成・提出・議決】
内閣ないかくは、まい会計年度かいけいねんど予算よさん作成さくせいし、国会こっかい提出ていしゅつして、その審議しんぎ議決ぎけつなければならない。




第87条【予備費の支出と国会の承認】
予見よけんがた予算よさん不足ふそくてるため、国会こっかい議決ぎけつもとづいて予備費よびひもうけ、内閣ないかく責任せきにんでこれを支出ししゅつすることができる。
②すべて予備費よびひ支出ししゅつについては、内閣ないかくは、事後じご国会こっかい承諾しょうだくなければならない。

第88条【皇室財産・皇室の費用】
すべて皇室財産こうしつざいさんは、くにぞくする。すべて皇室こうしつ費用ひようは、予算よさん計上けいじょうして国会こっかい議決ぎけつなければならない。

第89条【公の財産の支出利用の制限】
公金こうきんそのおおやけ財産ざいさんは、宗教しゅうきょうじょう組織そしきしくは団体だんたい使用しよう便益べんえきしくは維持いじのため、またおおやけ支配しはいぞくしない慈善じぜん教育きょういくしくは博愛はくあい事業じぎょうたいし、これを支出ししゅつし、またはその利用りようきょうしてはならない。

第90条【会計検査院の決算検査】
くに収入しゅうにゅう支出ししゅつ決算けっさんは、すべて毎年まいねん会計検査院かいけいけんさいんがこれを検査けんさし、内閣ないかくは、つぎ年度ねんどに、その検査報告けんさほうこくとともに、これを国会こっかい提出ていしゅつしなければならない。
会計検査院かいけいけんさいん組織そしきおよ権限けんげんは、法律ほうりつでこれをさだめる。

第91条【財政状況の報告】
内閣ないかくは、国会こっかいおよび国民こくみんたいし、定期ていきに、すくなくとも毎年まいねん1回いっかいくに財政ざいせい状況じょうきょうについて報告ほうこくしなければならない。




第八章 地方自治ちほうじち
第92条【地方自治の基本原理】
地方公共団体ちほうこうきょうだんたい組織そしき及び運営うんえいかんする事項じこうは、地方自治ちほうじち本旨ほんしもとづいて、法律ほうりつでこれをさだめる。

第93条【地方公共団体の機関、直接選挙】
地方公共団体ちほうこうきょうだんたいには、法律ほうりつさだめるところにより、その議事機関ぎじきかんとして議会ぎかい設置せっちする。
地方公共団体ちほうこうきょうだんたいちょう、その議会ぎかい議員ぎいん及び法律ほうりつさだめるその吏員りいんは、その地方公共団体ちほうこうきょうだんたい住民じゅうみんが、直接ちょくせつこれを選挙せんきょする。

第94条【地方公共団体の権能・条例制定権】
地方公共団体ちほうこうきょうだんたいは、その財産ざいさん管理かんりし、事務じむ処理しょりし、およ行政ぎょうせい執行しっこうする権能けんのうゆうし、法律ほうりつ範囲内はんいない条例じょうれい制定せいていすることができる。

第95条【地方特別法の住民投票】
ひとつ地方公共団体ちほうこうきょうだんたいのみに適用てきようされる特別法とくべつほうは、法律ほうりつさだめるところにより、その地方公共団体ちほうこうきょうだんたい住民じゅうみん投票とうひょうにおいてその過半数かはんすう同意どういなければ、国会こっかいは、これを制定せいていすることができない。





第九章 改正かいせい
第96条【憲法改正の手続】
①この憲法けんぽう改正かいせいは、各議院かくぎいん総議員そうぎいん3分さんぶん以上いじょう賛成さんせいで、国会こっかいが、これを発議はつぎし、国民こくみん提案ていあんしてその承認しょうにんなければならない。この承認しょうにんには、特別とくべつ国民投票こくみんとうひょう又は国会こっかいさだめる選挙せんきょさいおこなれる投票とうひょうにおいて、その過半数かはんすう賛成さんせい必要ひつようとする。
憲法改正けんぽうかいせいについて前項ぜんこう承認しょうにんたときは、天皇てんのうは、国民こくみんで、この憲法けんぽう一体いったいすものとして、ただちにこれを公布こうふする。

第十章 最高法規さいこうほうき
第97条【基本的人権の本質】
この憲法けんぽう日本国民にっぽんこくみん保障ほしょうする基本的人権きほんてきじんけんは、人類じんるい多年たねんにわたる自由獲得じゆうかくとく努力どりょく成果せいかであつて、これらの権利けんりは、過去幾多かこいくた試錬しれん現在げんざい及び将来しょうらい国民こくみんたいし、おかすことのできない永久えいきゅう権利けんりとして信託しんたくされたものである。

第98条【憲法の最高法規性、条約・国際法規の遵守】
①この憲法けんぽうは、くに最高法規さいこうほうきであつて、その条規じょうきはんする法律ほうりつ命令めいれい詔勅しょうちょくおよ国務こくむかんするその行為こうい全部ぜんぶまた一部いちぶは、その効力こうりょくゆうしない。
日本国にっぽんこく締結ていけつした条約じょうやくおよ確立かくりつされた国際法規こくさいほうきは、これを誠実せいじつ遵守じゅんしゅすることを必要ひつようとする。





第99条【憲法尊重擁護の義務】
天皇てんのうまた摂政せっしょうおよ国務大臣こくむだいじん国会議員こっかいぎいん裁判官さいばんかんその公務員こうむいんは、この憲法けんぽう尊重そんちょう擁護ようごする義務ぎむ

第十一章 補則ほそく
(以下省略)