農業の未来

日本の農業政策の失敗で日本の農業が崩壊するのは時間の問題になってしまいました。
農業を継ぎべき若い人は生活が出来ない農業を見切り、サラリーマンの道を選ぶようになってしまいました。
それでも就職先が農村近辺にあれば良い方で、ほとんどの人は都会に出てしまっております。
都会に出た若い人の全てに就職先があれば良いのですが、劣悪な労働環境の中で生活している農村出身の若い人は多いです。

耕す人の居なくなった水田はどうなるのかと言うと、ある程度まとまった土地なら土地を借りて耕作する人もあるでしょうが、ほとんどは荒れ放題になるのでしょう。
そんな状態が数年続いた後は、金のある人間(企業)が農地を二束三文で買い叩いて広大な農地に開拓し、農業を効率化するのでしょう。
そして敷地に宿舎や食堂や慰安(レジャー)施設を作り、職が無くてブラブラしている若い人を集めて、安い賃金でこき使うようになるのだと思います。
これはどこかで見た光景だとは思いませんか。
つまりは、金のある人間は昔の地主で、こき使われている若い人は小作人と言う関係です。
周りの人々は地主とは呼ばないで経営者と呼んでいるいるでしょうが、経営者に使われている人間は経営者を社長と呼んで頭が上がらないでしょう。
私は、こんな貧富の差が多いのは農村の望ましい姿とは程遠い状態だろうと思いますが、遠くない将来にはこうなるだろうと思っています。

農村に住んでいる人には、農業が崩壊するのが確実なのは分かっておりますが、将来がどうなるかまでは想像が出来ない人が大部分だろうと思います。
現在は私のように多くの人が農業政策に無責任な発言を行っておりますが、発言者の多くは全く農業経験のない政治家や評論家ばかりです。
その中で、元農水次官の高木勇樹と言う人が結構中身のある発言を行っておりますので、内容を転記させていただきました。
現在でもネット上には多くの発言内容の記載がありますが、 団塊太郎の徒然草 と言う方の日記からのほぼ転記です。(元は「日経ビジネス TPP亡国論のウソ」のようです)
2011年11月頃の民主党政権時代の古い内容ですが、2014年9月の現在でも全く進歩していない状態で新鮮さも感じるのにはあきれると同時に驚きです。

 

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農協の本当の姿

農協とはそもそも農家のための組織のはずですが、どうやら実際は逆のようです。
驚いたことに、農業に従事している人と、農協職員の数がだいたい同じようです。
勿論、農協職員は生産は行いません。農家へ農薬や化学肥料を販売して、その利ザヤで喰っていっているわけです。
500万円もするトラクターや耕運機などを農家に販売して、その儲けが彼らの給料になっているのです。
農協の実態を表現している内容を抜粋して見ました。
「国がやってきたことは、農協と結託して、減反を強要し続け、巨額の補助金を投入し、農家を借金漬けにしただけだ。他方、そのおかげで、農協は単に作物の集配や販売を行うだけではなく、種苗、肥料、農業機械の販売はもちろん、相続対策やアパート経営まで代行する巨大なカネ貸し営利機関へと肥大化した。」

「自民党、農林水産省、農協のトライアングルによって戦後このかた展開されてきた農政は、100%破綻した。自立農家は育たず、高齢化が進行し、担い手問題が放置されたまま耕作放棄地が急増している。国際競争力も低下し、食糧自給率も40%を切る危機的状況に陥った。この間に国がやってきたことは、農協と結託して、減反を強要し続け、巨額の補助金を投入し、農家を借金漬けにしただけだ。他方、そのおかげで、農協は単に作物の集配や販売を行うだけではなく、種苗、肥料、農業機械の販売はもちろん、相続対策やアパート経営まで代行する巨大なカネ貸し営利機関へと肥大化した。」
「農協はわれわれ農家にとってダニのようなもんだ。われわれの血を吸ってまるまる太りやがった」
「農業にまともに取り組もうとしている農家であれば、現実に対して抜本的な改革が必要なことは当然理解している。また、現在の自民党農林族が行っている減反と米価維持施策というものが、農業そのものより農協を利するだけのものになっていることを理解しているからこそ危機感を深めているのだ。」

農協の解体で解決するのか

巨大化し過ぎた(暴利をむさぼっている)JA(農協)の解体はどうしても必要だろう。
但し、農協を解体して儲けすぎていた分が農家に還元されても、それだけで農家がサラリーマン並みに生活できる訳ではあるまい。
兎に角、農家の収入を増やすには馬鹿げた減反政策などを止め、生産を上げ販売量を増やさなければならない。
そのためには、国内だけでは無理なので、国際競争力を上げなければならないのだが、どう見ても生産効率から考えて無理だろう。
と言う事は、減反政策の崩壊(中止)によって数多くの農家が自然淘汰される状況になると言う事である。
そうなると、今のやり方でも農業が破たんしている以上、規模が小さい耐久力の無い農家から滅んで行く事になる。
つまりは、補助金に限界がある以上、農業も経済の原則の中で生きていかなけらばならない事になる。

農業が経済の原則の中で生きるには

農家が生産するのは米でも麦でも良いのだが、国際社会の中で生きていくためには経済の原則に従わなければならないだろう。
ネックとなるのはやはり販売価格である。
広大な土地のあるアメリカと競争しても勝ち目がないのは誰の目で見ても明らかである。
跡継ぎが居ないために弱小農家が淘汰され、特定の大規模農家が現れたとしてもアメリカと対等に戦う事は厳しいのではないだろうか。
いっそのこと農業人口は無くしても良いのではないかと暴言している馬鹿な経済評論家も居るが、他国(アメリカ)に日本の心臓を与えたままで国家が維持出来る訳はあるまい。
アメリカも現在は食糧が余っているからこそ日本に輸出できるのであって、何かの天候の異変で食糧を輸出できなくなるかも知れないし、あるいは日本が食糧を自給できないと知ると意図的に輸出価格を引き上げる恐れもある。
善意だけに満ちた国家など、世界中を探しても存在などしない。(過去の植民地を見れば分かるが、悲惨なものである)
前述の高木勇樹氏は有事には飼料米を食用米に転用しても良いとか言っているが、農家が消滅すれば飼料米の転用も難しくなるだろう。

それと、JAの解体とか私も安易に書いているが、農業の従事者がJAで働いている場合も多い訳で、大量の失業者をどう処理するのかも難問である。
恐らくは何らかの就職口はあるだろうが、誰もやりたがらない劣悪な作業だとか生活するのがやっとのような給料しか貰えないような状態になるだろう。
結局は、昔の貧しい農民の姿に戻ってしまう事態になるのではないだろうか。
日本社会の中で農業(食糧)は最も大事な国家の基本的な産業であるにも関わらず、その従事者は社会的に最低な生活を強いられる事になるのである。
これが未来の農業になるのではないだろうか。いくら考えても私の眼にはそのようにしか見えてこない。